親子でできるSDGs×夏休みの自由研究アイデア4選【SDGsラジオ監修】

毎年どんなテーマにしようかと頭を悩ませる夏休みの自由研究。今年はSDGsにしてみませんか? お話をうかがったのは、企業のSDGsの取り組みを1分間で紹介する持続可能な教育コンテンツ「SDGsラジオ」を手掛ける株式会社ケシオンの岡本治樹さんと片山啓輔さん。自由研究のアドバイスは、小学校受験にも役立つこと間違いなしです!
日本のSDGs、現状と課題とは?
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで制定された「持続可能な開発目標」のこと。17の目標で構成された内容は「持続可能」をテーマに、貧困問題やインフラ、環境問題など多岐にわたり、2030年をゴールとして設定しています。達成度については、SDGsに関する世界最大のネットワークであるSDSNから毎年「持続可能な開発レポート」が報告書として発表されています。
__SDGsの17のゴールは2030年までに達成できそうなのでしょうか?
SDGsジャパンの「持続可能な開発報告書2024(SDR24)」によると、2030年までに達成可能なのは世界で16%にすぎず、残り84%は進捗が限定的もしくは後退していると発表しています。
日本は、2024年の発表では167ヵ国中18位。17の目標のうち、「質の高い教育をみんなに」「産業と技術革新の基盤をつくろう」は達成していましたが、教育が2023年よりも評価を下げています。
また、食料の生産性の問題なども含まれる「飢餓をゼロに」やごみの排出問題なども含む「つくる責任つかう責任」、国会における女性議員の割合なども含む「ジェンダー平等」なども、大きな課題が残ると指摘されており、2030年のゴールに向けて、今後よりいっそうSDGsへの取り組みが強化されていくことが予想されています。
・子どもがSDGsを身近に感じる声掛けのコツついては、こちらの記事をご覧ください。
『東大理系卒ママyuuさんが実践する!おうちでSDGs~第1回 環境問題について考えよう~』
『東大卒ママが実践!おうちでできるSDGs〜第2回人権問題について考えよう〜』
SDGs×学校教育の課題「SDGs17のゴールを自分ごとに落とし込むのが難しい」
__SDGs×学校教育はどこまで進んでいるのでしょうか?
文部科学省が掲げた2020年の教育改革以降、小中学校でも探究学習や総合学習などの時間でSDGsについて考える授業をする学校が増えています。しかし、実際多くの学校の先生たちからのヒアリングによると「どんな風にしてSDGs17のゴールを自分ごとに落とし込めばいいか」と悩んでいる声が多いです。
__そんな学校教育におけるSDGs教育を解決すべく立ち上げた「SDGsラジオ」について詳しく教えてください。
SDGsラジオの内容としては、全国の小中学生を対象にした、企業のSDGsの取り組みを1分間で紹介する無料の音声コンテンツで、昼休みの校内放送や探究学習、公開授業など、さまざまなシーンでご活用いただいています。
アドバイザーに、「世界の優秀な教員10人」にも選ばれた立命館小学校の正頭英和先生をお迎えし、出前授業などの取り組みも行っています。
コンテンツ制作で大事にしているのは、「SDGsを身近に自分ごとに捉えられるか」。
学校側でもSDGsが自分ごとになりにくいという課題があったので、どこかの遠い国の出来事ではなく、よく知っている企業でのSDGsの取り組みを通して、子どもたちが「これなら自分でもちょっとできそう」と思える内容を意識しています。
SDGsラジオの具体的な取り組み事例と成果
__SDGsラジオを使った具体的な学校での取り組み事例を教えてください
横浜市立川上小学校では、大阪・関西万博のラジオを活用して「SDGsとはどのような取り組みか」を説明。
星が見える環境を整えることが、野生動物の保護やエネルギーの無駄を減らすことに繋がるとまとめ、発表後は子どもたちが作成したプラネタリウムを鑑賞し、星の美しさを伝えていました。
葛飾区立よつぎ小学校では、6年生の総合学習で「学校でできるSDGsのアイデアを考える」をテーマに、SDGsラジオを使って授業を行いました。
SDGsラジオを子どもたちに紹介したところ、授業外でも自主的に聞くようになり、ブックオフの不要品を入れるだけで不要品が回収されるシステム「R-LOOP」を他校が行っているのを知り「自分たちもやってみたい」とアイデアが出たので、今後は校内全体で活用していくそうです。
大阪市立福小学校では4年生の総合の授業でSDGsラジオを題材にして「謎解き」を作成。授業参観日であったため、保護者の方も一緒に作成したそうです。授業後、校長先生から「SDGsラジオのおかげで、親子で学べる時間となりました。大人とこどもが同じ目線で学べる素晴らしい教材ですね」と嬉しいお言葉をいただきました。
__どのような成果が出ていますか?
校内放送などを通してSDGsに関する話題に習慣的に触れることで、自然と子どもたちのアンテナが広がるので、日常生活の中でもエコに関する発言が増えてきたなど、SDGsに対する理解も感覚も意識も変わってきたという声をいただいています。
また、毎日学校に来られない子が、海洋汚染をテーマにしたSDGsラジオの出前授業に参加してくれたのをきっかけに、水の問題に関心を持つようになり、自主学習で深掘りするようになったそうです。
普段の教科とは異なる授業なので、興味関心が広がり、不登校解消のきっかけにもなることができたら嬉しいですね。
・体験を子どもの学びにつなげるポイントについては、こちらの記事をご覧ください。
『マルコメ直伝「味噌作りで子どもを伸ばすコツ」小学校受験や自由研究にも役立つ体験』
未就学児や小学校低学年、高学年の年齢別、SDGs自由研究アイデア例
【未就学児向け】
自分の回りの「うれしい」「優しい」を探してみよう!
あまり難しく考えずに、まずは「地球やともだち、家族に優しくすること、喜ぶこと=SDGs」として考えることが、SDGsの理解を深める1歩になります。
たとえば、「親子で近所のごみ拾いをしてみる」場合、「(誰が)うれしい?」「(何に)優しい?」という視点で見られると、お子さまもより自分事に感じられるのではないでしょうか。
【小学校1~3年向け】
SDGsってなあに?~きいたこと・かんがえたこと~
SDGsラジオを1つずつ聴き、自分の言葉で要点をまとめ、絵と一緒に「絵日記」を作ってみましょう。SDGs の意味や内容を「感じる」ことがメイン。自分の日常と関係づけて考えられるようにすることがこの研究の目的です。
ノートや自由帳に、1話につき「タイトル+ラジオで印象に残ったこと+一言(自分の考え)+絵」で記録してみましょう。
身近なこととSDGsをつなげて、自分の住む街を調べてみよう
SDGs の目標を身近に感じ、観察力や発見力を育てることが目的です。
まとめる際は発表しやすい「紙芝居形式」がおすすめです。街の名前、調べたこと(ごみ、電気、食べものなど)、どんなことに気がついたか、自分ができることをイラストや写真を貼って紙芝居にまとめれば、立派な自由研究になります。
【小学校4~6年向け】
SDGs博士になろう!
SDGsラジオで学んだことをもとに「SDGsクイズ」を作成します。アウトプットと対話を通じて、SDGsの理解を深めることが目的です。
選択肢(A・B・Cなど)、正解、解説を冊子やカードにまとめると、「まとめて終わり」ではなく、お友だちと楽しく遊びながら互いに学びを深めることができます。
「世界の優秀な教員10人」に選ばれた正頭 英和氏と、SDGsラジオが共同開発した教材がこちら(SDGsラジオに登録した学校関係者のみダウンロード可能)。
小学校受験にも使える!自由研究のふり返りで学びを深めよう
__自由研究で学びを深めるコツはありますか?
私たちの出前授業でもワークシートを活用していますが、思ったことや課題を紙やWebにまとめて“見える化”していくことは、学びを深めるうえでとても大切です。
ワークシートやSラジカードを活用して、企業の取り組みの要点を押さえる反復学習や「聞く力」を高めることができます(SDGsラジオに登録した学校関係者のみダウンロード可能)。
もちろん、まとめるのが得意な子もいれば苦手な子もいますし、発表が得意な子もいればそうでない子もいるでしょう。特に、未就学児や小学校低学年の子が1人でまとめるのは難しいと思います。
その場合は、親御さんがお子さまに「どう思った?」「どうすればいいと思う?」「こういうやり方もいいかもね」などとアドバイスしていくことで、考えがまとまっていくはずです。
グループワーク形式の場合は、「こんな意見もあった」というまとめもありですし、「思っていた答えが得られなかったから次はこうしてみたい」というまとめもOKです。
親御さんがサポートする際のポイントとしては、未就学児~低学年は興味関心を持つことが目的なので、とにかく“楽しく取り組むこと”。
高学年になったら、自分で調べることにも少しずつチャレンジして、論理的思考力とプレゼン力を育てることを意識するとよいでしょう。
今はどの企業も人手不足で、SDGsに関する素敵な取り組みも、多くの人に届けられないままになっている(発信できていない)というケースが多いです。
私たちの取り組みを通して、少しでも学校教育で先生方のお役に立てるとともに、企業と社会、子どもたちとの架け橋になれたら幸いです。
・わが子の自由研究のテーマ決めやまとめ方に関しては、こちらの記事もご覧ください。
『今年こそもう悩まない! 「自由研究」のお悩みに科学のプロがアドバイス』

タカラトミーが仕掛ける「みんなでつくるSDGs人生ゲーム」とは?
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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