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子育て

甘えとわがままの違いとは?4歳児の甘えの正しい受け止め方

甘えとわがままの違いとは?4歳児の甘えの正しい受け止め方

子どもが4歳くらいになると、食事や着替えをはじめ、基本的な生活習慣を自分で出来るようになり、また相手の気持ちなども少し考えられるようになってきます。親は、わが子がお兄ちゃん、お姉ちゃんに成長したかのように感じる時期でもあるでしょう。そのような時、子どもが甘えてくると「わがままじゃないの?」など、戸惑いを感じることもあるのではないでしょうか。今回はそんな「甘え」をテーマに解説していきます。

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「甘え」は子どもの心の自立に必要

子どもの心が成長していくには、「甘え」は必ず必要なものです。誕生したての赤ちゃんは、ミルクを飲むのも、オムツを取り替えてもらうのも、全て母親(主なる養育者)に依存しています。泣けば、ミルクをもらえて空腹が満たされ、濡れて気持ち悪いオムツも取り替えてもらえます。その環境は赤ちゃんにとってはとても安心した気持ちでいられる状態です。

ですが体と行動の成長に伴い、今までとは違う気持ちを抱くようになります。例えば食事の時、「いつもママが食べさせてくれるけれど、自分で好きなように食べたい!」と思うようになり、親が手を貸すことに何でも「イヤイヤ」と反抗し「自分で!」と言う時期がきます。それがいわゆる「イヤイヤ期」と言われる2~3歳頃ですね。

ですが、「自分でする!」と言って自分でやってみたものの、思っていたように出来なかったり、いつも近くにいてお世話をしてくれたママが傍にいないことに、急に不安を感じ、親の元へ帰ってくるときがあります。それが「甘え」となって表れるのです。

例えば、昨日まで一人で出来ていたことを「ママ、手伝って」と言ってきたり、急に膝の上に乗っかってきたりして甘えてくることがあるでしょう。これは心の自立に必要な甘えです。ですので、このような時は、しっかり子どもの「甘え」を受け止めてあげてください。

そうして親に甘えて安心すると、子どもはまた、自分でしようとします。これが意欲であり、自立につながっていくのです。

4歳過ぎても甘えん坊な子の心理と関わり方

4歳頃になるとイヤイヤ期も過ぎ、食事や着替え、遊びなど一人で黙々と取り組む子が増える中、いつまでも甘えん坊な子もいるでしょう。4歳を過ぎても甘えてくる子どもに対し、「これはわがまま?」と戸惑うことはないでしょうか。まず4歳を過ぎても甘えてくる子の心理を考えましょう。

さっぱりした子は親に充分甘えさせられている子、甘えん坊の子は甘えたい時、親に甘えさせてもらってない子と言えるでしょう。一見反対のようにも感じますが、実は幼い頃、充分甘えた子ほど親から離れていくのが早いのです。

なぜなら、親に「甘える」ということは何らかの不安を感じていたり、親の愛情を確かめようとしたりする時です。それまでに、不安を感じた時、甘えを受け入れてもらっていれば、「不安になれば、いつでもママが受け止めてくれる」という体験を積み重ねます。すると安心して親から離れることができるでしょう。そのような子は、自立していくのが比較的早く、さっぱりした子に感じます。

反対に、甘えたい時に甘えさせてもらっていない子は、「一旦ママから離れると、もう甘えさせてもらえない」と思い、いつまでも親から離れようとせず、甘えん坊な子に感じるでしょう。

ですので、4歳を過ぎても、甘えてくる子には、話に耳を傾け、その甘えを十分受けとめてあげてください。

甘えとわがままの見分け方

では甘えとわがままの違いは、どのように見分ければよいのでしょうか。例えば子どもが、膝の上に乗っかってくる、手をつなぐことをせがむのは甘え、おもちゃやお菓子を「買って、買って」とせがむのはわがままです。

つまり精神的な要求は甘え、物質的、金銭的な要求はわがままだと思っておくとよいでしょう。

わがままは節度なくエスカレートしていく恐れもあり、子どもの心の健やかな成長を妨げます。

NGな甘えさせ方

子どもが何か自分でやろうとしている時に手を貸すのはNGな甘えさせ方です。例えば、子どもがコップに牛乳をいれようとしている時、「きっとこぼしてしまうから、ママがやってあげるわ」というのはNGです。また子どもが服を着替えようとしている時、「時間がかかるから、ママが手伝ってあげるわ」と言うのもよくありません。

これらは子どもが、新しいことに挑戦する意欲を低下させ、自立を阻むことになります。甘えはあくまでの子どもからの要求であることが大切で、大人の都合で甘えさせることはNGです。

正しく甘えさせ、自立を支援しましょう

「親の都合ではなく、子どもの都合で甘えさせましょう」と言っても、実際、生活の中で子どもの都合ばかりを優先させていられない場面はあるでしょう。その場合は臨機応変に対応しても構わないと思いますが、あくまでも甘えは子どもから甘えてくるもので、親が甘えさせるものでないことを覚えておいてください。

「甘え」と聞くと、どうしてもマイナスなイメージも感じますが、子どもの心の成長には必要なものなのです。「甘え」を正しく理解し、上手く受け止め、子どもの自立を支援してあげましょう。

著者プロフィール
田宮 由美

公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA

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