甘えとしつけのさじ加減を心理学的にアプローチ! 今日から実践できる「ポジ育メソッド」(後編)

甘えとしつけのさじ加減を心理学的にアプローチ! 今日から実践できる「ポジ育メソッド」(後編)

前編はこちら

ポジ育メソッドは0~10歳のお子さんがいるご家庭向けですが、子育てでは年齢ごとに心がけたいポイントもたくさんあります(4歳の壁や7歳反抗期など)。

年齢別のポジ育メソッドはシンガファームでもたくさんご紹介していますので、そこを参照いただくとして、ここでは、どの年齢であってもカギとなる今すぐ使えるポジ育メソッドを3つご紹介します。

日経DUAL記事

その1 ママのポジティブシンキング

心で思っていることは言葉に出やすいものです。ですので、「叱るときにひどい言葉を言っちゃうのが悩み」という場合に、言葉だけ変えようと思ってもなかなかうまくいきません。

そんなときは、その一歩手前にある“心”で思っている言葉を意識的に変えていくのがポイントです。傾向的に、次の言葉を心の中でつぶやくと、ママの怒りは爆発しがちです。「まただ」「毎回毎回」「昨日も」「この間も」「何をやらせても」「何もかも」など。

これらの言葉は、結果的にママの目線を前回の叱りネタに移動させるため、叱る範囲を拡大させる作用があります。それを避けるために、叱るときは「今の×目の前の×行動だけ」を言葉にするのがポイントで、これは「悪を広げない」というポジティブシンキングの1つになります。

「今の○○は~~しなさい」と「今」からスタートすると、その後の言葉も「悪を広げないフレーズ」が続きやすいので、ぜひ実践で練習してみてください

その2 親子のリスニングタイム

1日に1回、子どもの話をしっかり聞くリスニングタイムを設けましょう。これは、カウンセリングのときにも用いられる「傾聴」というテクニックです。お子さんの「ママに認めてもらいたい」「分かってもらいたい」という承認欲求を満たすことにつながります。

このときのポイントは、「ながら聞きをしないこと」「否定をしないこと」。おやつの時間や夕食の時間など、ママも腰を落ち着けられ、お子さんの機嫌がいい時間に実行するのがおすすめです。

お子さんから話題を振ってくれれば、それに乗り、もし何も話し始めないようなら、ママから話題を振ります。いずれにしても、「知りたい!」「教えて!」というノリのいい意思表示が大事で、「え~、それってママ知らない、教えて~♪」という調子で話を盛り上げていきます。

話をしっかり聴いてあげることで、子どもが変化することは非常によくあります。「言うことを聞くようになった」「素直になった」「明るくなった」「勇気が出るようになった」などなど、効果は絶大です。

濃い親子タイムになる傾聴は、日々忙しいママにとってもおすすめです。忙しいからこそ、1日15分でいいので、子どもの話だけに集中する時間を作ってみてください。

その3 お悩み解決の糸口を可視化

「うちの子は言うことを聞いてくれない!」のような日々の大きなお悩みの場合、どこから手をつけていいのかわからないことが多いと思います。そういうお悩みは、とにかく書いてビジュアル化すると、手のつけどころが見えてきやすくなります。

こうやって、お悩みを真ん中に置き、考えられる理由を周りに思いつくだけ書いていきます。そうすると、やるべき方向性が見えてきやすくなります。

またこの可視化によって、自分がどうにもならない相手とたたかっている姿が見えてくることもあります。

たとえばこのAさんの例で言えば、「もともとのガンコな気質」はその子の持って生まれた性分なので、親が何とかしようと思って変えられるものではありません。その子のガンコさを「そうなんだ」と受け入れ、それに合わせた向き合い方をしていく必要性があるという気づきにもつながります。

このほかにも、自分自身のストレスや人間関係など、困りごとを見える形に書き出してみると、どこから手を出していいのかわからないお悩みへの一歩を踏み出すことがしやすくなります。紙と鉛筆さえあればできるので、困ったときにぜひやってみてください。

コロナ禍だからこそ、バランスのいい育児を

以上、ポジ育メソッドの4つのテーマについてお伝えしてきましたが、大枠はつかめたでしょうか。それぞれ切り口は違うのですが、互いが互いを支え合いながら、バランスのいい育児を実現しようという試みです。

私はできるだけ多くのご家庭に、バランスを踏まえた子育てを広めたい強い思いがあり、カウンセリングや育児相談のような個別セッション以外にも、お手軽なサイズ感のポジ育メソッドも発信しています(スマホで好きな時間に受講できる動画講座など)。

さらに最近、コロナ禍での育児ストレスの深刻化を鑑み、もっと始めやすい「ポジ育クラブ」というママ向けサイトも立ち上げました。

昨今の芸能界の悲しいニュースや児童虐待や育児放棄などの痛ましいニュースを見ていて、「とにかくママ自身の心のケアやメントレを」と動き出したのが「ポジ育クラブ」です

そこでは、ポジ育メソッドの中でも、育児ストレスに特化し、月に4回、私の方から心理学ベースのストレスマネジメントの情報やエクササイズを配信しています。

これからしばらく続くと思われるコロナ禍での育児を、なんとかみんなで乗り切りたいという思いでやっています。ご興味ある方は、私のHP(megumi-sato.com)に案内がありますので、ぜひご検討ください。

著者プロフィール

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:megumi-sato.com

  • twitter
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • ホーム
  • 子育てのコト
  • 甘えとしつけのさじ加減を心理学的にアプローチ! 今日から実践できる「ポジ育メソッド」(後編) - SHINGA FARM

関連記事

新着記事