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パパが知っておきたい、子育ての心理~イヤイヤ期編~

パパが知っておきたい、子育ての心理~イヤイヤ期編~

前回の初級編では、パパがはじめてわが子とご対面したときに知っておきたい心理学ということで、生まれて間もない赤ちゃんとの関わりについてお伝えしました。

今回は幼児編ということで、ある程度自立が進み、活発に動き出した子どもたちとの関わりについて見ていきます。

日経DUAL記事

幼児期のハイライトであるイヤイヤ期

幼少時の子どもの心理発達において、もっとも重要と言っても過言ではないのが、2~3歳頃に見られる「イヤイヤ期」です。「魔の二歳児」というネーミングでも呼ばれています。これらの呼び名でも感じると思いますが、一筋縄では行かないなと親が感じやすい時期でもあります。

日々お子さんと向き合っているママでもイヤイヤ期の目的を間違って捉えているケースは見られますので、パパの中にも、「イヤイヤ期って親にやたらと反抗する時期でしょ」と思っている方もいるかもしれません。しかし、イヤイヤ期の本当の目的は、自立を促すこと自我を成長させるために存在します

1歳後半~3歳の頃にみられ、一時的に自己主張が強まる時期と言われています。この時期の子どもたちは、「自立したい」という気持ちが自分の中に芽生えてくるのですが、まだまだ2歳、なかなか思い通りにはいかない現実に日々葛藤を繰り返しています。

そんな様子を見て、「じゃあ代わりにやってあげようかな」とこちらが手を出したら、「イヤ!○○ちゃんがやるの!」とすごい剣幕で言われたという経験がある方もいるでしょう。それこそが自我を発達させようという目的からこぼれ出る「イヤイヤ」の正体です。

自分の意思や考え、あとは自分がどれだけのことが出来るかというスキルの効力を試しながら、この時期に自我を急速に発達させていくのです。

自我の発達は、心の内部で起こっているため、親からは見えにくく、一方で、表面に見える「イヤイヤ」は顕著に目立つため、この時期は「イヤイヤをする時期」と誤解されがちですが、イヤイヤ期の第一目的は、自我を堅実に成長させるというところにあります。

イヤイヤ期のやっていいこと悪いこと

この時期、何でもかんでも「イヤイヤ」されると、親は疲れてしまい、ついつい「イヤイヤをなくす方法」を求めてしまいがちです。たとえば、お菓子をあげておとなしくさせようとか、こじれる前に親がやってしまおうなど。

しかし、イヤイヤだけに的を絞った対策では、大切な目的である「自立」を促せなくなることがよくあります。この時期の接し方のポイントを簡単にまとめると、

パパがやるべきでないことは、

・イヤイヤに真っ向勝負する
・子どもを制しようとする
・子どもの代わりにやってしまう

パパがやってあげるといいことは、

・待つ
・見守る
・励ます
・ほめる

となります。

子どもがブロックを組み立てていて、うまくはめられないときに、「そうじゃなくて、こう」とパパが取って代わり、あっという間にかっこいいビルを建ててしまう。こういうシーン、あると思います。

もちろんパパは良かれと思ってやっているのですが、ここで大事なのは、まずは待ってあげること、で、どうしても進まない場合は、やり方やコツを教えてあげることがポイントになります。

2歳の子が求めているのは、かっこいいビルを見ることではなく、自分で何とかブロックをはめられるようになること。パパにちょっとコツを教えてもらってブロックを1つはめることができたら、そこで「できた!」と自立が促されるのです。

子どもの自己主張をすべて受け入れるべき?

ただ、ここで気になってくるのが、子どもの欲求を何でも満たしてあげるのが望ましい対応なのかという点です。

もしお子さんが、

・チョコレートを食べたい
・まだ寝たくない
・歯磨きしたくない

こう主張してきたとします。それを、「この時期の自己主張は大事だから」と呑んであげると、どうなるか……? ただのわがまま放題になってしまいます。

私のこれまでの育児相談などの経験を踏まえても、この時期の対応が適切でないと、何でも好き放題で抑制の効かない子になることが多く、その見極めは重要です。

私はそれを「偽イヤイヤ期」と呼んでいるのですが、イヤイヤ期は自我発達のためにあるべき大切な時期、でも、偽イヤイヤ期はしつけがルーズになっていることで起こる現象で、ご家庭の中に「ルール」や「お約束」がないと陥りやすい傾向があります。

イヤイヤ期の子であっても、がまんすべきことというのは当然ながら存在します。基本的に生活習慣に基づいたルールに関しては、きちんと守らせることを第一とし、これはイヤイヤ期の「待つ、見守る」の対象からは外してください。

もし「子どもが自ら歯磨きするまで待つ」「自分から眠いと言い出すまで見守る」では、1日の生活パターンがあっという間に乱れてしまいます。

一方で、自立活動に関しては、できるだけ多くの達成経験ができるよう工夫するよう心掛けてみてください。自立活動とは、ふたを開けたい、靴下をはきたい、ボタンをはめたい…など、親がやろうとすると

「ボクが開けるの!」
「ワタシがはくの!」
「自分でやるの!」

とイヤイヤする行動のことです。

待ったり、見守ったりが要求されるため、忙しい時間などは難しいなと思うこともあるでしょう。

ただ、週末などは、ママよりもパパの方が時間的に余裕があるご家庭が多いと思いますので、ママが支度をしている間に、パパは子どもの着替えに気長に付き合ってあげるなどは素晴らしいアイデアです。育児において、待ってあげることはとても大事な関わり方の1つ。待ってあげる=何もしていない、ではないので、時間のある時の関わり方としてぜひ取り入れてほしいと思います。

この時期、自分でやるという経験がたくさんできると、それで気持ちが満たされ、イヤイヤが軽減しやすくなるという嬉しい展開も期待できます。

著者プロフィール

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:megumi-sato.com

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