図鑑でわが子の強みを伸ばすコツ 第1回〜恐竜編〜

図鑑でわが子の強みを伸ばすコツ 第1回〜恐竜編〜

これからの時代は「何か強みのある子が強い」と言われています。とはいえ、子どもの興味関心の伸ばし方は親がそのジャンルに詳しくないと難しいもの……。
そこで、各ジャンルのプロフェッショナルが集結する、KADOKAWA図鑑編集部の方々に「子どもの興味関心の引き出し方のコツ」を伺っていく新連載がスタート。第1回は特に男の子に絶大な人気を誇る「恐竜編」。図鑑編集部の小荒井編集長にお聞きしました。

日経DUAL記事

なぜ男の子は恐竜にハマる子が多いのか

__恐竜が好きな子は、何がきっかけでその魅力にハマるのでしょうか?
3歳くらいから男の子を中心にハマる子が多い「恐竜」ですが、その「大きさ」「強さ」「カッコよさ」が魅力だと感じます。ウルトラマンが好きな子が、敵である怪獣(子どもにとっては=恐竜)に興味を持ったりする子もいるようです。
数ある図鑑シリーズのうち、「昆虫」「恐竜」「乗り物」は図鑑の導入としては手に取りやすい王道のテーマですが、この中で「恐竜」だけ違う点があります。それは「動く実物が見られないこと」。つまり、「どんな生活をしていたか」「どっちが強いか」など、常に想像力を働かせる必要があるのです。どちらかというと、宇宙や人体に近いかもしれませんね。だからこそ、まだ解明されない謎ときのような“男のロマン”があるのかもしれません。

ファースト図鑑は子どもが手に取ったものを選んで

__恐竜に興味を持ったら、どんな図鑑を選ぶといいですか?
恐竜に興味を持ったら、絵本でも図鑑でも、親子で「一緒に楽しむこと」が大切です。わが子が今、どんなポイントに興味を持っているのかを探っていきましょう。最初に買い与える図鑑は、まずは本人が手に取ったものを選びましょう。表紙や絵の好みは子どもでもあるものです。

ちなみに、図鑑には出版社によって「こんな風に読んでもらいたいな」という編集意図があります。種類ごとに分類する図鑑が多いですが、KADOKAWAのGET!シリーズは「時代別」「生息地別」に分類しているのが他とは違うこだわりポイントです。
たとえば、「白亜紀時代のアジア」など、ある時代のある場所のシーンを描くことで、横に知識を広げ、それぞれの時代にどんな恐竜がいたのか、さらにそれがどうやって進化していったのか、なぜ絶滅したかが分かるからです。

これは余談なのですが、私の娘が3歳のころ、トイザらスで配布していた恐竜カードを集めて遊んでいたんです。そのとき、娘がトリケラトプスの背後にプテラノドンが飛んでいるカードと、家から持ってきていたトリケラトプスとティラノサウルスが戦う絵本を交互に見て、「プテラノドンとティラノサウルスも一緒にいたの?」と言ったんです。3歳でも2つの別々のものを見て、その2つの間にある、実際には書かれていないシーンを想像することができるんだなと思いました。

そのように、図鑑を読むだけで終わらずに、図鑑に書かれていないことを想像できる、想像しやすい図鑑を作りたいな、と思ったことが、この時代別、生息地別に分類した図鑑を作るきっかけになっています。

ファースト図鑑は子どもが手に取ったものを選んで

ファースト図鑑は子どもが手に取ったものを選んで

最初は親子で一緒に楽しんでみましょう

__図鑑の具体的な活用法を教えてください!
これはどんな図鑑でも言えることですが、最初から図鑑を目的もなく開いたり集中して読む子は少ないと思います。まずはリビングの子どもが手に取りやすい場所に置いておき、テレビや絵本の中で気になるものが出てきたら一緒に開いてみましょう。幼児はまだ図鑑にどんなことが書いてあるか分かりませんから、親御さんが冒頭に書かれている「図鑑の使い方」をよく読んで、楽しみ方を体験させてあげるよう意識してみてください。そうするうちに、自分からパラパラとめくりだしたりするはずです。何がきっかけかどんなタイミングかはその子によるので、決して無理強いはしないこと。

あとは、図鑑を使った読み聞かせもおすすめです。ある研究によると、一般的に、男の子は何かを分類したり集めたりする「図鑑脳」で、女の子はその背景や関係性に興味を持ちやすい「物語脳」に寄っているという報告があります。もちろん男女は問わないのですが、お子さんがどちらの傾向が強そうかを考えてみて、図鑑脳タイプの子には、近しい種が集合しているようなページで、数の多さや違いについて話してみたり、物語脳タイプの子には、シーンを描いた絵をもとにお話を作って読み聞かせしてもいいと思います。どちらも、図鑑を見ながらお話を聞くことで、聞く力と想像力が養えるはずです。 

恐竜図鑑から別ジャンルへの広げ方

__恐竜図鑑からどのように興味関心を広げていけばいいでしょうか?
ティラノサウスとトリケラトプスが描かれた白亜紀の絵を見ていたら、「どういう関係なのかな? どっちが強いのかな?」などと、声掛けをしていきましょう。すると、それぞれの特徴に関心を持つはずです。その後、たとえば「白亜紀にはお花がさいてるね」と植物に目を向けてみたり、「かつて、アメリカと中国のあたりに似た恐竜がいたのは今と違って大陸がつながっていたから」と言うことを知り、そこから歴史や地学にも興味を持つ子もいるでしょう。

恐竜は大きく分けると爬虫類ですから、もっと深く分類したい子には「爬虫類」の図鑑もいいですね。さらに、恐竜が隕石で絶滅したことに興味を持った子には、「絶滅動物」や「古生物図鑑」にハマる子もいます。どっちが強いか、に関心がある子は「危険生物」もいいでしょう。また、この恐竜図鑑の監修者である小林先生は、子どもの頃は、お城や仏像が好きだったと伺いました。時代を経て今もあるものにロマンを感じ、そこからもっと古い時代の恐竜を研究するようになったそうです。ちなみに、私も恐竜好きだったのですが、そこから化石や鉱物図鑑に広がっていきました。

そんな風に、決まりはありませんから、最初は「かっこいい」から始まった恐竜図鑑も、きっとずっと同じページを見ていたり好きなページがあると思います。そこから別ジャンルの図鑑をそっと差し出して「これも似ているかもね」などと言って一緒に見てみると、どんどん興味関心が広がっていくはずです。

恐竜図鑑から別ジャンルへの広げ方
恐竜図鑑から別ジャンルへの広げ方

博物館は同じ場所に何度も行くのがおすすめ!

__恐竜好きな子におすすめのお出かけスポットはありますか?
やはり、博物館はおすすめです。福井県にある恐竜博物館や上野の国立博物館などは有名ですよね。どこでもいいのですが、私は、同じ博物館に何度も行くのがいいと思っています。理由は1回では到底見切れないからです。ちょっと贅沢かもしれませんが、できれば「今日はここを見てこよう」と数ヵ所をじっくり見て回る目的別のおでかけがおすすめです。
また、今年は3月20日~5月6日の期間で、東京のお台場で福井の恐竜博物館からやってきた化石などが見られる「オダイバ恐竜博覧会2024」(https://www.odaiba-dino2024.jp/index.html)が開催されているそうですよ。  

大事なのは図鑑を通して疑問を持つこと

__図鑑からわが子の強みを見つけたいと奮闘する親御さんにアドバイスをお願いします。
ぜひ、普段のお子さんの様子を観察してみてください。図鑑は必ず触れなければいけないものではありませんが、ちょっと手に届く場所に置いておきつつ、反応がいいものを見つけていく、その繰り返しなのだと思います。

小さいお子さんだったら、身近に触れるも「虫」「花」から始まるのもいいでしょう。以前、小児歯科医の岡崎好秀先生にインタビューしたときに、「将来、学者になるような優秀な方は子どものころ昆虫好きだった人が多い」とおっしゃっていました。あくまで岡崎先生のお知り合いの範囲での感覚だと思いますが、「身近にあるよくわからない、不思議なものに対して、スルーせずに興味を持つ」という感覚は、その後、なにかを深めていく過程にも通じるものがあるのだろうと思います(岡崎好秀先生のインタビューはコチラ:
https://yomeruba.com/plus/news/entry-11703.html)。

ですから、ある図鑑の同じページばかり見ていても全然悪いことではありません。「うちの子は恐竜図鑑しか見ない」と思っていても、知らず知らずのうちに、時代や植物などいろいろな知識が身についているはずです。大事なのは、図鑑を通して「これはなんだ?どうしてだ?」と不思議に思える力が持てることなのではないでしょうか。

その「?」が見つかれば、何かのタイミングで、水がスポンジにしみこむようにどんどん知識を吸収していき、それがお子さんの強みとなっていくはずです。
大事なのは図鑑を通して疑問を持つこと

恐竜好きには、3月21日に出る新刊『恐竜ハンター 白亜紀の恐竜のつかまえかた
』(KADOKAWA)もおすすめです。サイエンスライターの土屋健さんにご協力いただき、1年以上の製作期間を経て「この恐竜を捕まえるならきっとこうだ!」と真剣に議論して作った力作です。科学的にわかってる条件から答えを導く、という仮説の立て方が面白いので、小学生以降のお子さんには、考え方の訓練にもなると思います。

恐竜ハンター 白亜紀の恐竜のつかまえかた
恐竜ハンター 白亜紀の恐竜のつかまえかた

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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