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将来お金に困らない大人になるために。アメリカに学ぶ、幼児期から取り組みたい「マネー教育」

将来お金に困らない大人になるために。アメリカに学ぶ、幼児期から取り組みたい「マネー教育」

昨今、「子どものマネー教育」ということばが注目を集めています。老後資金の2,000万円問題が話題となり、お金に関する知識の重要性が浮き彫りになったのも記憶に新しいかと思います。お金は、私たちが生活していくうえで生涯生付き合っていかねばならない存在です。だからこそ、早い時期からお金に対する理解を深めることは、子どもにとって将来の大きな財産となります。マネー教育先進国であるアメリカの事例に加え、取り組みやすい我が子へのマネー教育について紹介します。

日経DUAL記事

今後ますます重要視される「子どものマネー教育」

これまで日本では、大っぴらにお金の話をするのは好ましくない、という風潮がありました。それが子どもならば、なおさらのことです。しかし、時代は移り変わり、現在は日本でも「早期からお金に関する正しい知識を学ぶ」ことが推奨されています。

その一例として、日本では2022年度からの高校の新学習指導要領に、授業の一環として「資産形成」の内容が組み込まれました。小・中・高・大学に金融庁職員を派遣し、資産形成などの出張授業を実施する取り組みも拡充されています。金融庁公式サイトでは、小学生向けのお金にまつわる豆知識やゲームがたくさん記載されており、マネー教育がいかに重視されているかがうかがえます。

また、アメリカやイギリスといった諸外国に比べ、日本では預貯金の割合が高く、効果的な資産運用がなされていないことが指摘されてきました。これを受け、自分で資産を運用し形成する私的年金制度iDeCo(個人型確定拠出年金)や、毎年一定額の範囲内で得た利益が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)などが導入され、資産運用を促進する環境づくりが進められています。

家庭でマネー教育に取り組むアメリカは小学生からビジネスに挑戦!

マネー教育先進国であるアメリカの家庭では、子どもが幼い頃から気軽にお金のことを話題にします。アメリカではお金は自ら運用するものという認識があるため、早い時期からお金の仕組みや知識を我が子に教えていく傾向が強いのです。

子どもが直接お金に触れる機会も多くあり、定番が「レモネード・スタンド」です。子どもはお小遣いで材料を購入してレモネードを作り、1杯あたりの値段を決めて道行く人に販売します。そして看板を作ったり、お客と値段交渉したりして、どうすれば売れるのか、お金はどのように循環するのかを学びます。

中学生や高校生になると、自宅の芝刈り機を使って近所でアルバイトをする子もよく見かけます。親に芝刈り機のレンタル料や灯油代を払い、一般的な芝刈りサービスの相場を調べ、近所を回って「安く芝刈りをしますよ」と持ちかけるのです。これも生きたお金の学び場です。

学校では、小学生の頃からクレジットカードや株取引を授業で取り上げ、討論やシミュレーションを通して理解を深めます。各家庭でも、この頃から子ども向けのデビットカードを持たせたり、少額の株取引を始めたりするケースもあります。このように、アメリカでは幼い頃からお金に親しむことで、金銭的自立を積極的に促していきます。


レモネード・スタンドで販売をする子どもたち

今日から取り組める! 子どものおすすめマネー教育3選

マネー教育を成功させるコツは、勉強として頑張るよりも「本人が楽しみながら学べる」こと。肩の力を抜き、親子で気軽に取り組んでみましょう。効果的なおすすめ事例を下記に挙げてみました。

1.お小遣いを「報酬制」にする

お小遣いは、毎月決まった金額を渡す定額制よりも、お手伝いの対価として渡す「報酬制」がおすすめです。子どもと相談しながら、お風呂掃除は20円、食器洗いは10円といったお手伝い表を作成しましょう。子どもは「働いて給料をもらう」という体験を得るとともに、お金を稼ぐことの大変さや、対価を得られる喜びを味わえます。

また、稼いだお小遣いを使うのも大切なプロセスです。使い道は極力子どもに任せましょう。大人には一見無駄遣いに見えても、失敗を通して子どもは学びます。「ゲームでお金を使いすぎて、欲しいお菓子が買えなかった」というのも貴重な体験です。経験を積み重ねることで、お金の使い方を体感的に学べます。

2.普段の生活を通して、お金の流れや物の価値を学ぶ

買い物のついでや、銀行に行くついでに、親子でお金の話をしてみましょう。お金は、親の財布から無限に湧いてくるものではありません。どんな経緯でお金が入ってくるのか、何にお金を使っているのか、噛み砕いて話してあげてください。スーパーもネタの宝庫です。「同じ牛乳なのに、なぜ商品によって値段が違うのか」というテーマだけでも、品質、生産方法の違い、商品のこだわりポイントなど、いくらでも話を広げられます。

家計簿を子どもに見せるのもよい勉強になります。家庭の収支には、医療や保険など、普段の生活では子どもが知り得ない項目もたくさんあります。家庭のお金の流れや、貯金の割合など、さまざまな角度から話し合ってみましょう。

3.ゲームで楽しみながらお金の感覚を養う

昔から親しまれているボードゲームの「人生ゲーム」は、マネー教育には打ってつけの遊びです。家族で楽しみながら、お金を払ったり、投資したり、失敗したりといった人生のイベントを疑似体験できます。少し難易度が上がりますが、不動産を独占していく「モノポリー」もおすすめです。

テレビゲームが好きなお子さんなら、大人気ゲームソフト「あつまれ 動物の森」がぴったりです。無人島を自分好みに発展させていくというゲームで、住宅ローン、利息、株式投資といった要素がふんだんに含まれており、遊びながらお金の仕組みについて学べます。

まとめ

グローバル化が進む現代、将来お金に振り回されることがないように早い時期からお金に関する正しい知識を身に付けることは、今後ますます重要な課題となることでしょう。しっかりと金銭的自立ができていればこそ、投資や資産形成に対しても先入観や偏見なく取り組んでいけます。知識をスポンジのように吸収できる今の年齢だからこそ、我が子へのマネー教育を考えてみませんか?

【参照URL】
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20181116/01.pdf
https://www.fsa.go.jp/teach/shougakusei.html
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51840730W9A101C1000000

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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