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グローバルで活躍できる医者を目指す!穴場な留学先とは

グローバルで活躍できる医者を目指す!穴場な留学先とは

医学部進学といえば超難関というイメージがつきまといます。日本の場合は、高校でし烈な受験勉強を経て、医学部を受験して合格しなければはじまりません。競争率の高い試験に合格した、ごく一部の限られた人のみが進学できるのが日本の医学部のイメージではないでしょうか。

筆者の住むニュージーランド(以下NZ)では、医学部への道はさまざまな意味で日本と異なります。どのような点が違うのか、現在NZで医学部3年生に在学する子どもの事例をもとに、実際体験したことを中心にご紹介します。

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NZで医学部に進学する二つの道【その1】

NZで医学部に進学するには2つの方法が用意されています。通常、将来医者になりたいと希望するNZの高校生は、「ヘルスサイエンスファーストイヤー」と呼ばれる一年間のコースに入学することになります。このコースには、高校卒業後大学の入学資格を満たした生徒はほぼ全員が入学できます。

医学部を目指す生徒だけではなく、歯学部・薬学部・フィジオセラピスト(理学療法士)・X線技師など幅広い分野を希望する人が取るコースなので、非常に人数も多い人気の学部といえます。

医学部を目指す学生は、この一年目の全成績と、 UMATと呼ばれる適性検査の結果で合否が決まります。成績はA +(95点以上)A(90点以上)からDまであり、履修科目のうち、一教科でもB以下の成績の場合、医学部への願書は出せません。

一年目に受講するのは、化学・物理・生物などに医学に関連した科目が中心です。年に二回大きな試験があり、一つでも多くのAかA +を取らなければ医学部枠に到達しないという狭き門なので、学生は必死で1年間を通して勉強をすることになります。なお、高校までの成績は関係ありません。

そして、11月に実施される2度目の大きな試験が終わった後、医学部入学願書を提出し、そのなかから上位何十人かの学生が入学を許されます。高校卒業後、日本より1年遅く正式に医学部に入学できるということです。

さてここからがNZのユニークなところですが、もし、この方法で医学部へ入学できなかった場合ですが、『もう一つのチャンス』があるのです。

NZで医学部に進学する二つの道【その2】

もう一つのチャンスとは、大学1年生を終えて医学部に合格しなかった場合、次に専攻する学部を選び、2年間この専攻した学業を終えたあとに、再度医学部への願書を出すという道です。この場合は、3年の間の成績全部が計算されて、再び選考されます。

このような学生はグラデュエートスチューデントと呼ばれています。ヘルスサイエンスを1年勉強した学生より当然2歳(かそれ以上)年上で、すでに卒業資格を取得してからの医学部進学のため、より詳しい専門分野(微生物学科・解剖学科・生理学学科など)を履修済みです。

医学部入学後に勉強したことが役に立つことはもちろん、精神的にもぐんと成長していることは確実でしょう。そして、残念ながら医学部進学の夢が叶わなかったとしても、大学卒業資格を得ているので、その分野で仕事を探すことができます。

この第二番目の入学方法で医学部に入学するのは、全体の4分の1程度です。日本の医学部進学を目指す場合と比べて、NZの仕組みは理にかなっていると感じるのは、一年目にだめでもあと2年間、真剣に勉強したら合格する可能性があるという点です。

一発勝負の勉強でなく、その後2年間のすべての試験や内申が基準となるというのは、学生側も納得しやすいシステムではないでしょうか。

また、オークランド大学の医学部には面接があります。これも非常によく考えられた仕組みです。8つのブースにわかれて、その全部を回って面接を受けるという仕組みとなっていて、単に志望動機を聞かれるというような単純なものではなく、あらゆる角度から学生の適正や人間性を知ろうと工夫されています。

医学部最終年は外国でインターン

NZの医学部は6年間あります。興味深いことに、ほとんどの医学部の学生はその年に2か国でインターン体験をするそうです。その費用は国からの補助でまかなわれています。多くの学生は、1か国は比較的発展途上の国、もう1か国は先進国の都会という組み合わせで選ぶことが多いようです。

NZからそう遠くない太平洋の小さな島国などでのインターンとしての体験をすることで、医療設備などが十分に備えられていないという難しさがある反面、一人の医者に任される部分が大きくなり、インターンでも責任を持って働くことができます。

しかも週末は、毎日がホリデーのようなトロピカルな環境で楽しめるというおまけつきです。

もうひとつの、先進国の大都会でのインターンでは、実際の治療や患者との対応にはそれほど密に関わることができない可能性が高いのですが、人口の集中する外国で最新技術を使った治療を学ぶまたとない機会を得られます。のんびりした田舎の国であるNZで学んだ学生のその後の訓練として、大いに勉強となることは確かでしょう。

英語で学ぶということ、そのメリットとは?

最後に、英語圏で医者になるということは、そのあとの可能性が無限大といっても過言ではありません。

英語という汎用性の高い言語で医師資格を得た場合、外国で働こうと思えば、可能性はどこまでも広がります。英語圏だけでなく、世界のいろいろな国で仕事を探すことができます。

目下のところ、医師不足に陥っている国は多く、外国人医師はどこでもビザが取りやすいとも聞きます。子どもにグローバルな活動の場を求めて日本から羽ばたいてほしいと願う親にとって、NZのような英語圏で医者になるという可能性を検討してみるのは一つの方法ではないかと思います。

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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