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4歳からナイフ&フォーク!? “食育先進国”フランスを支える3つの現場

4歳からナイフ&フォーク!? “食育先進国”フランスを支える3つの現場

ヨーロッパのデパートなどで、食器売り場に行くと見かける、子ども専用のカトラリーセット。重みのあるステンレス製で、ナイフ、フォーク、スプーンがセットになっています。お店の方によると、ほとんどが「出産祝い」に用いられるのだとか。

小さい頃からナイフとフォーク、箸文化の日本とはだいぶ食育事情が違うようです。

今回は、食育先進国であるフランスから、子どもの「食」を支える3つの現場についてお伝えしていきます。

食育の中心は家庭の食卓

グルメの国・フランスの食育を支える中心は、毎日の家庭での食事です。フランスでは、家庭の食卓を“子どもの大事な教育の場”としてとらえています。

それでは、フランスの親はどのような食事マナーに重きを置いているのでしょうか。

筆者が日本よりも徹底していると感じたのは、

「音を立てない」
「きちんと座る」
「会話を楽しむ」

の3つです。

●音を立てない

まず1つめの「音を立てない」についてですが、食事中の音はマナー違反とされるため、すする音やカトラリーが重なり合う音には敏感です。

スープはもちろん、流行りのラーメンやうどんを食べるときでも、ズルズルとすするのはご法度なので、音を立てないで食べることを教えていきます。

●きちんと座る

2つめの「きちんと座る」。この教育はかなり徹底しているように思われます。レストランなどでの食事は数時間かかることもよくありますが、子どもたちは食事中に立ったりすることはありません。

日本のように床に座る文化ではないので、イスに座ることに慣れるのが早いのかもしれませんが、毎日の食事でのしつけがきちんとなされているのでしょう。

●会話を楽しむ

そして3つめの「会話を楽しむ」。フランスではゆっくりと食事を食べながらおしゃべりをするのが通例なので、家のレイアウトもそれを促す作りになっていることが多いようです。

キッチンのすぐ横に食卓を置き、食事はそこで取る。そして食後にリビングへと移り、そこでテレビを見る、と空間を分けているのです。

勤務時間が日本のように長くないので、共働き家庭が大半ながらも、夕食は家族そろって取るのが一般的。「食事が教育の場」として続くのも、毎日の習慣のおかげなのでしょう。

給食も3ステップのコース式!

食育の進んだフランスでは、給食にも特徴があります。幼稚園の給食から、「前菜」「メイン」「デザート」と進むコース式になっているのです。

子どもたちが、着席し、紙ナプキンを胸に当てると、スタッフは、まず前菜を配りはじめます。それが終わると、メイン、そして、デザートへと進んでいくのです。全てを一度に出す「日本式」とはだいぶ違いますね。

段階的に料理が出てくる「フランス式」は、苦手なもの克服には向いているように感じています。一般的に子どもたちの様子を見ていると、前菜よりもメインが好き、メインよりもデザートが好き、という子が多いからです。

気になるナイフのスタート時期ですが、フランスの幼稚園では、年中から導入というところが多いようです。年中と言えば、4歳。その頃から、少しずつ、ナイフとフォークで食べることを学んでいきます。

4歳の子にナイフというと、早過ぎるような気がしますが、“ファーストナイフ”は鋭い作りにはなっておらず、ハンバーグくらいのものを切るのに適した仕様です。

はじめの頃は、うっかりナイフをなめてしまう子が多いので、その点だけは気を配りながら、日々の食事を通して、少しずつ学んでいきます。

三ツ星シェフだからこその食育

「家庭の食卓」「学校の給食」について話をしてきましたが、最後はレストランの食育についてご紹介したいと思います。

フランスでは、ミシュランの星つきレストランでも、食育への意気込みを感じることがよくあります。いえ、星つきのシェフだからこそ、子どもたちの食育に熱心なのでしょう。

ある三ツ星レストランに行ったときには、「Initiation a la Gourmandise(グルメへの一歩)」と銘打った子ども用のメニューがありました。大人向けのメニューをすべて半分のポーションで提供し、若い世代に味わってほしいという試みだそうです。

このような働きかけをしているシェフはとても多く、一見、敷居の高そうなレストランでも、実は子どもフレンドリーということがよくあります。お願いすれば、メニュー表には載っていない「子ども用プレート」をアレンジして作ってきてくれます。それがどれもビジュアル的に美しく、もちろん味は保証つき。

フランスの「食」は、日に3回繰り返されるルーティンではなく、もはや芸術の域に達していると感じずにはいられません。

フランスはだれもが認めるグルメの国。しかし、それは一朝一夕でできた財産ではないことが分かります。家庭、学校、外食産業が一体となって取り組んでいることで、今あるフランスの食を生み出しているのでしょう。

著者プロフィール

ポジティブ育児研究所 代表 & 育児相談室「ポジカフェ」主宰。
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの検定事業、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:http://megumi-sato.com/

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