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コロナ鬱を防ぐ!自分で思考をコントロールするテクニック

コロナ鬱を防ぐ!自分で思考をコントロールするテクニック

子どものこと、夫のこと、ママ友のこと、気になることがいっぱいで悩みがつきない。しかもここ最近は新型コロナウイルスに関する懸念も重なり、育児ストレスがマックスという方も多いでしょう。コロナ鬱という言葉もあちこちで見られるようになった今、自分で自分を守るためのスキルが必要です。

そこで今回は自分の“思考”について知り、それをコントロールする秘訣についてお伝えしていきます。

日経DUAL記事

思考に支配されると育児ストレスが増加する

ここ最近、育児相談などを通じて私が感じているのは、ママたちが自分自身に参ってしまっているということです。

新型コロナウイルスの影響もあって、いつも以上に気持ちが圧迫され、常に何かを考え続けていて、思考が大暴走。結果的に、その人が自分自身の思考に支配されてしまっている印象を強く受けるのです。

本来なら、自分が主(あるじ)のはずなのに、いつのまにか立場が逆転し、心の中にあふれる思考に自分が振り回されてしまい、気持ちが休まらずストレスが増大……。このような感覚、みなさんはないでしょうか?

「育児ストレスが多い」という状態は、一見すると、その人の周りでたくさんの”困りごと“が起きているように思えます。ですが、実際にはそうとは限りません。たしかに悩む対象が多いと、育児ストレスは増えがちではあります。

しかし、心理学的に見ると、それがストレスになってしまうかどうかは、その人の捉え方次第ということが多いのです

自分の思考について、あらためて考えることは案外少ないものです。でも、もし今ストレスが多いなと感じていたら、ぜひここで”思考“について一考してみてください。きっと何かしらの気づきにつながるはずです。

うつは思考の疾患~どう考えるかが大きく影響する

最近、コロナ鬱という言葉が聞かれますが、うつ病に対する認知療法を提唱した著名な心理学者であるベック博士は、「うつ病」を「思考の疾患」と捉えています。心理学では、その思考のことを“認知のゆがみ”と呼び、特有の否定的な考え方が、その人の気持ちを沈ませてしまうとしています。

ただ、そのような考え方は、やや否定的だったり、ひどく否定的だったり、というように程度があります。“うつ病”までは行かなくとも、気持ちがちょっと落ち込んだり、なんだか気が滅入ったり、そういう場合も、自分の思考スタイルが大きく影響していることがほとんどです。

私がふだん育児相談などでお話を聞いていても、ネガティブに物事を捉えてしまうクセがあるために、気持ちがイライラしたり、滅入ったりしてしまっているケースは非常によく見られ、それが育児の悩みを増大させています。

悩んでいること自体は、子どものこと、夫のこと、学校のこと、勉強のこと、なのですが、実際にはママ自身が自分の思考に圧迫されてしまっているために、事が大きくなってしまっているのです。その場合、思考を自ら意識的に改革していくことで、それらが、そこまでひどい悩みではなくなることがよくあります。

ネガティブな思考ほど長引きやすい

つまり、自分の思考スタイルの“質”というのは、その人の精神状態にものすごく影響力があるのですね。さらには、その“量”もカギを握っていて、人それぞれで違いが見られます。

>決断が早い人、サバサバしている人というのは、心の中がすっきりしているものです。逆に、クヨクヨしてしまうタイプの人は、心の中が常に”密“な状態で、思考があふれかえっている傾向があります

というのも、ネガティブな思考は、ああでもない、こうでもないと心の中で繰り返されがちなため、長引きやすいのです。それにより「いつも考え事をしている」とか、「気持ちが穏やかにならない」というような状況に陥りがちです。

では、思考に自分自身が振り回されないために、どんなことに気をつけていったらいいのでしょうか?

自分の思考に振り回されないためのテクニック

一番大事なのは、自分の思考を外側から見る時間を作るということです。

”思考“というのは、自分自身と一体化しているものなので、それを外から見つめ直してみようとはなかなか思いません。それにより、思考に巻き込まれているのに気づけない状態を作っているので、自分の考えを客観視する機会を作るということは非常に大事になります。

そのタイミングとしておすすめなのは、「あ~考えることがいっぱいだなぁ」と思ったその瞬間です。

はじめは、「あふれる思考のせいで気持ちが落ち着かないんだ」という事実自体に気づけなかったり、あとは気づけても、「そんな客観視なんてやっている時間はない」と流してしまったりすることもあるかもしれません。

でもいったん冷静になって自分の心をモニターできると、すっきりするので結果的には時短になります。

そのタイミングが作れたら、ぜひやっていただきたいのは、

・頭にあふれていることを可視化する
・中途半端な考えはいったん結論を出す
・自分の考えを「それホント?」と疑う

の3つです。

頭にあふれていることを可視化する

母親というのは、育児のこと、家事のこと、そして仕事をしている場合は仕事のことを同時進行で考えていることが多いので、思考の三密が起こりがち。その3つを頭の中でやりくりしていると、実際には矛盾があるのに、思考上ではできるような気がしてしまい、結果的に押せ押せになってしまうこともよくあるものです。

紙に可視化して、ジャンル分けしたり、整理すると、矛盾に気づけたり、ムダを省くことにつながります。

中途半端な考えはいったん結論を出す

また、頭の中で考えているだけだと、途中まで考えて、いったんやめて、また時間ができると振り出しに戻って考え出す……、と実は効率の悪い考え方をしていることが多いものです。

ベック博士も、“考えきること”を推奨しており、頭の中でちょっと考えては中断を繰り返している“案件”については、いったん結論を出してしまうのがおすすめです。

身近な例で言えば、夕飯のメニュー。育児、仕事で忙しい中、「今晩は何にしようか」と考えていると、朝いったん考えて、決められずに、午後になるということもあると思います。

朝決められるのならその場で紙に書いてしまう、決められないのなら、「帰宅時のスーパーで決めればいい」という決断をする、これによりだらだら思考を避けることができます。

自分の考えを「それホント?」と疑う

さらには、自分の考えを疑うことも時に役立ちます。私たちは、「自分がこう思うからそうなのだ」と思い込んでしまうことがよくありますが、たとえば、「あれもしなくちゃいけない」「これもしなくちゃいけない」というとき、「本当にしなくてはいけないことなのか?」と疑ってみるのです。

実際は手放せることを、疑わずにそのまま自分で抱え込んでいることは多いので、思考の三密を少しでも減らすために、「それホント?」と自問して、頭の中にめぐっている思考の数を減らす努力もしてみてください。

著者プロフィール

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:megumi-sato.com

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