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子育て

5歳のわが子の遊び方が変かも?悩む前に読みたい子どもの遊び方の心理

5歳のわが子の遊び方が変かも?悩む前に読みたい子どもの遊び方の心理

単独で遊ぶ、いつも決まった子と遊ぶ、その日の気分でいろんな子と遊ぶ……。5、6歳になると出てくる遊び方の違い。親はどうしても気になってしまいます。

そこで今回は、「なぜこの子はこの遊び方をするのか?」という子どもの遊び方に関する心理を、過去の研究データを交えてお伝えしていきます。

日経DUAL記事

パーテン博士の「6つの子どもの遊びの分類」

発達心理学者のパーテンが提唱した「子どもの遊びの分類」をご存知でしょうか? これは、子どもたちが自由に遊んでいる場面で、子ども同士がお互いにどのような関わり方をしているかを分類したものです。早速、ご紹介しましょう。

何も遊んでいない状態
ひとり遊び:他の子に近づいたり、話しかけたりせず、1人で遊んでいる状態
傍観的行動:声をかけたりはすることはあっても、遊び自体には交わらず、他の子の遊びを見ている状態
平行遊び:子どもが何人かいて、似たようなおもちゃを手にしていても、互いは交わらず、それぞれが独立して遊んでいる状態
連合遊び:他の子と一緒に遊ぶものの、基本的には、子どもそれぞれが自分のやりたいように遊んでいる状態
協同遊び:協力して遊ぶ(おままごとなど)、ルールを意識して遊ぶ(ゲームなど)のように、子どもたちが何らかの目的を持って協同して遊んでいる状態

①から順に⑥へと進むにつれ、より社会的で洗練された遊び方になっているのが分かります。

5歳の子でもひとり遊びを選択する

ただこれを、「遊びの発達プロセス」と捉えてしまうと、幼稚園くらいのお子さんを持つママの中には、不安を感じる方もいるかもしれません。「うちの子、5歳なのに、まだ1人で遊んでいる」と。

しかし、心配にはおよびません。この遊びの分類は、むしろ、年齢とともに、どうレパートリーを増やしていくかを表したものと捉える方が適切だと思います。

つまり、1歳の子がいきなり「協同遊び」をすることはなくても、5歳の子は、協同遊びをすることもあれば、ときにひとり遊びをすることもあり、どう遊ぶかは、その時々で、その子の意思によって選択されるということです。

心や体の発達とともに、遊び方はどんどん社会的に広がっていくものの、その過程を通り過ぎたら、ひとり遊びはいっさいしなくなるわけではなく、レパートリーとして残していくのです。

特定の子としか遊ばない、もしくは、特定の子を作らない場合は?

また、子どもの遊び方の悩みで多いのが、

「いつも同じ子としか遊ばない」「2人の世界が出来上がっていて、他の子と交わろうとしない」のように、特定の子としか遊ばないというパターン
「毎日遊ぶ子が違う」「大人数で遊ぶ」のように、特定の子を作らないというパターン

です。どちらも、友だちと遊ぶという社会的な関わりを保っている点では共通していますが、その在り方が違います。この違いは、その子の性格や気質的な違いが、遊び方の好みに影響していることが多いようです。

これまでの育児相談を踏まえて言えるのは、

1つめのパターンは、内向的な子、引っ込み思案な子、とくに女の子に多い傾向が見られます。

2つめのパターンは、外向的な子、新しい刺激を好む子、体を使って遊ぶことが好きな子に多いようです。

「内向的、外向的」や「新しい刺激が好きか否か」などは、生まれ持った気質や性分が大きく影響することが心理学では知られており、子どもたちは、自ずと、それに沿った遊び方を選択します。それが一番、自分の性に合っているからです。

内向的なお子さんが、いきなり外向的にはなりませんし、その逆も起こりません。子どもたちは、自分の性格をよく知っており、それに合った遊び方を賢く選択しているので、親が「もっと○○してほしい」と思っても、なかなかその通りにはならないのです

遊び方は、「こうでなくてはいけない」というルールはありませんから、他のお子さんとの遊び方の違いにやきもきしてしまう気持ちも分かりますが、そこはグッと気持ちを押さえて見守りましょう。

大人の先入観を押しつけないで!

「友だち100人できるかな」という歌がありますが、友だちは多ければ多いほどよいという一般的なイメージがあります。それもあり、親はついついそのイメージを子どもたちに求めてしまうものです。

しかし、子どもの遊び方に、「こうあるべき」という先入観を持ってしまうと、5歳の子がひとり遊びをしていたりすることに違和感を覚えることになってしまいます。

一般的に、5歳くらいの子というのは、「家が近所」「習い事が一緒」「席が近い」など、距離の近さが友だちになるきっかけであることが多く、クラス替えがあったりすると、また友だち関係がガラッと変わることもよくあります。

小学校に入り、学年が上がっていくと、それまでの距離優勢型だった友だち関係が、どんどん「気の合う子」「共通項の多い子」へと変わっていきます。

このように、子どもたちは、その時々で、自分に合った遊び方を選択しているものですし、友だちの在り方を変えていくものです。ひとり遊びであっても、2人だけ遊びであっても、不特定遊びであっても、その子が選んでやっていることであれば、自発的な行動です。

自分の性格に合った遊び、その瞬間にやりたい遊びを体現化している姿なので、基本は、心配せずに見守ってあげるのが一番です。

著者プロフィール

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:megumi-sato.com

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