「男の子がひとりでできる片づけ」著者、中村佳子さんにインタビュー 子どもの「夢を叶える片づけ術」とは?

「男の子がひとりでできる片づけ」著者、中村佳子さんにインタビュー 子どもの「夢を叶える片づけ術」とは?

早くも年末、大掃除シーズン到来です。わが子にもつい「片づけなさい!」「早くしなさい!」と口うるさく言っていませんか? でもそれ、「実は子どもに伝わっていない場合が多いんですよ」と中村さん。

おもちゃや洋服の片づけから、子どもが創作した絵や工作などの片づけ、さらに時間や情報の片づけまで、子どもの「夢を叶える片づけ術」についてお話を伺いました。

中村佳子さん
中村佳子さん
ライフオーガナイザー®。片づけのプロとして、さまざまな個人宅や企業からの相談に応じたりセミナー講師として活躍。セミナー開催は300回を超える。小6・小2男児のママ。
著書『男の子がひとりでできる「片づけ」』(KADOKAWA)が絶賛発売中!
https://ameblo.jp/lifeorganizer-yoshiko/

 

日経DUAL記事

子どもに「片づけなさい」じゃ伝わらないのはなぜか

夏休みの子ども向けセミナーで最初に「ママに、片づけしなさいって怒られたある人」と聞くと100%手が上がります(笑)。でも、「なんで片づけしないといけないか分かる人」って聞くと、ほぼゼロ。つまり、子どもは片づける理由が分かっていないんです

ママがうるさいから見えないように押し込むこと=片づけだと思っている子が本当に多いんです。逆に言うと、子どもは散らかっていても困ると思わない。これはちょっと衝撃でしたね。

じゃあ、どうやって子どもに「片づける理由」を教えるか。特に男の子は自分で納得しないと動かないタイプ。私なりに試行錯誤した結果、男の子ならではのやる気スイッチの押し方があるなと気がつきました。

片づけで子どもに身につく5つの生きる力

片づける力が身につくことは、部屋がキレイになるだけではありません。私は「子どもの将来をも左右する」と思っています。

片づけには
選ぶ力(いるいらないを取捨選択する)
判断する力(今何から片づけるべきかを判断する)
続ける力(毎日続ける)
思いやる力(どう片づけたら次の人が使いやすいか想像する)
責任感(自分のことは自分でやる)
という力も必要なんです。これってつまりは今必要と言われている「考える力」ですよね。

たかが片づけ、されど片づけ。うちの小6の長男も、4歳から片づけを実践しているせいか、最近運動会で団長を務めた時、先生に「自分で指示をしたり考えて行動できるようになった」と言われたことがあります。これも片づけの成果だったら嬉しいなと思っています。

散らからない家をゴールにしないこと!

とはいえ、Instagramで見るような素敵ハウスを毎日保つのは至難の業。子どもがいたら到底無理です。

そこで私がたどりついたのが「散らからない家をゴールにしないこと」。散らかることは生きること常に片づいた状態を目指すのではなく、散らかった状態から早く簡単に誰でも片づけられるしくみを目指す、でいいと思うんです。

そのためには何分で片づくかの目安を知っておくと楽。10分以内で片づけば上出来です。

もちろん、来客時とご飯を食べるとでは片づける度合いも違いますから。ご飯のための片づけであれば5分を目安に。頑張りすぎるとママのイライラが増えるだけですからね。

それとひとつ知っておいてほしいのが、「子どもは大人と比べて視野が狭く、手先も発達途中」だということ。だから、早くやろうとしてもできないんです!「なんで後ろにあるおもちゃが見えないの!」「靴下履くのに何分かかってるの!」の裏には、こんな理由もあるんです。

片づけられる子にする魔法の声掛け

ではいよいよ本題。片づけができるためにはどう伝えればいいか。それは、「どうすればいいと思う?」「〇時からご飯だけどいつ片づけるの?」と常に子どもに問いかけること。

また、何度言ってもできない場合、「片づけないなら捨てます!」は、私は数回ならありにしています。

ただし、その後が大切!「片づけないから捨てたわよ!」と怒りだけを伝えるのはダメで、「えーうそっ?ゴミだと思って捨てちゃったのかもしれない。ごめん…」と本来伝えたい“出しっぱなしにすると壊れちゃったり間違って捨てちゃうこともある”ということを伝えるのが正解。

「え、ママ、ホントに捨てるんだ、やばいぞ」と子どもに思わせるような女優になりきりましょう。

未就学児の子には、「一緒に片づけしよう、よーいドン!」「ぬいぐるみはあの箱だよ」と具体的に楽しく片づけるのが効果的。また、片づけBGMを作って、「この曲が流れたら終わるまで片づける」。条件反射にするとガミガミ言わなくて楽です。

片づけに困る作品は工作ボックスとセットに!

「日々の工作作品やお絵かきをどうすればいいか分からない」。これは未就学児ママに多いお悩みですが、片づけも作品管理も子どもが自分でできるように「工作ボックス(道具類)」と「作品ボックス(完成品)」を別々に分けるのがポイント。ざっくりとしまえるフタなしタイプがおすすめです。

作品ボックスがいっぱいになったら子どもが自分で残すものを選びます。幼稚園や小学校で描いて来た絵なども、わが家ではIKEAのSUKUBBシリーズのボックスにドサっといれるだけ。最終的にはベスト10や20を選んでポスターにしようかなと思っています。

楽しみながら決められたものの場所に戻す工夫を!

片づけにくい場合は、片づける場所に問題があるのかもしれません。

たとえば乳幼児のうちはゴミ箱はひっくり返したりするのでリビングに置かないことが多いですが、小学生くらいになるとそんなことはしません。でも相変わらずリビングにゴミ箱がないからゴミを捨てられずにその辺にポイと置いてしまうということも。おもちゃや洋服の収納も同様です。

子どもの成長とともに、ものの置き場所を見直してみてください。それと、特に男の子は楽しみながら戻す工夫をしてあげると率先して片づけます。

わが家の例としては、
・細かいおもちゃはざっくり収納でOK
・マグネットやゴム、子どもの好きな遊びでしめしめ収納(ついやりたくなる工夫)

など。マグネットは大人のカギ置きとしてもおすすめですよ。

また、ごちゃごちゃして見えがちな本棚は「読みたくなるブックカバーで」情報をシンプルに整理するのも手。図鑑などはこれでぐっと探しやすくなり、見た目もすっきりします。

小学生になったら情報の片づけも大切!

何でも準備をしてあげられた未就学児とは違って、小学生になると自分で準備したり管理しないといけません。

情報の片づけとは見える化すること。わが家で実践しているのは、たとえば、
・宿題ややることの見える化
・災害時の連絡先や避難場所を貼っておく

など。

やるべきことや知っておくべきことをきちんと管理できるようになることは大人になるためにとても必要ですよね。小さいときから習慣にしてあげるといいと思います。

また、将来の夢を上手に使って、片づけのモチベーションにするのも手。たとえばサッカー選手になりたい子だったら、「たくさん練習したいから、用意に時間をかけたくない」→出しっぱなしやぎゅうぎゅう詰めをやめよう→とびらなし収納で用意をしやすくする、など。

片づけに必要なのは想像力。「この子だったらどう戻せるかな?」と少しずつ、試行錯誤しながら家庭にあったしくみづくりを目指してください。

大事なのは親がやる100点の片づけよりも、子どもの80点の片づけが自立の近道だということ。無理せずできることから、トライしてみてください。

詳しくは中村さんの著書をチェック!

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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