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自己肯定感にも影響!? 子どもの「見て見て期」どう対応するのがいい?

自己肯定感にも影響!? 子どもの「見て見て期」どう対応するのがいい?

小さい子が親などに対し「見て見て!」と繰り返す様子は、きっと子育てをしていない方でも一度は見たことがある光景だと思います。「かわいいな」「ほほえましいな」と思う一方で、あまりに頻繁になると、「疲れる」「見きれない」という声も聞かれます。そして心の中では、「見てあげた方がいいんだろうなぁ」という思いも……。今回はそんな子どもたちの見て見てアピールにどう対応していくのが望ましいかを検討していきたいと思います。

日経DUAL記事

「見て見て期」とは? 代表的な3つのパターン

子どもは成長の過程でママやパパに自分の行為を「見て見て!」とアピールする時期があります。年齢的には2~4歳くらいがピークでしょうか。その様子に今はしっかり呼び名がついて、「見て見て期」と言われているのだそうです。これは心理学の教科書に載っているような正式な名称ではありません。子育てをしているパパ・ママが日々感じる現象に呼称がついたものです。ちなみにイヤイヤ期もそうで、言うなれば育児系のニックネームです。

この「見て見て期」、まさに言い得て妙なので説明も要らないかもしれませんが、2歳過ぎたあたりからよく見られます。2歳と言えばイヤイヤ期。この時期は自我の成長が目覚ましく、自分で何かに取り組もうとする姿勢が特徴的ですね。その好奇心やモチベーションをもとに様々なチャレンジをすることから、1歳代と比べても格段に“できること”が増えてきます。それを「ぜひ見てもらいたい」と思うのが見て見て期というわけです。それを踏まえると、イヤイヤ期の自我成長と連動しているとも言えそうです。

「見て見て!」のパターンとしては、

●自分のすごい姿を見てもらいたい場合
例:公園のすべり台で滑る瞬間に「ママ、見て!」と声をかける

●手元でやっている動作を見てもらいたい場合
例:積み木が上手に重ねられたときに「見て」と言う

●少し離れたところにある何かを共有したい場合
働く車を指差ししながら「見て」と言う

などがあるでしょうか。見てほしいものは若干違いますが、どれもその瞬間に気持ちが向いていることに反応してもらいたいという思いから来ている点で共通しています。

子どもの「見て見て!」の反応で気をつけたい2つのこと

では、子どもから「見て見て」と言われたとき、どうリアクションするのが”正解“なのでしょうか。

まず大前提として、子どもの「見て見て」に100%対応することは現実的ではないということを先にお伝えしておきます。その上で、こういう場面でどういう反応をしてあげたら理想的かということを見ていきましょう。

まず大事な2つのポイントとしては、

●声で反応する
●目線を合わせる

が挙げられると思います。

子どもがこっちを見てもらいたいというときに得ようとしている最たるものは親の目線です。よって、子どもの「見て見て」という声に、「うわぁ~すごいね」などと声で反応してあげて、目線を合わせることは、自ずとこの子の欲求を純粋に満たしていると言えます。

さらには、状況によっては、

●質問をして会話につなげる
●1つの体験として共有する

ということもできるかもしれません。

たとえば、「これは何色かな?」と質問すれば言語の刺激につながるでしょうし、「ママも積み木やってみようかな」と言って取り組めば共有体験になります。「見て見て」を関わりのきっかけとして用いるということですね。

「見て見て期」の心理学的な意味合い

子どもの「見て見て期」は基本的には相手を選んでの行動です。中には初対面の人に「見て見て」を言う子もいるかもしれませんが、基本的にはアタッチメントを形成している相手に対して「見て見て」を言うことがほとんどでしょう。

このアタッチメントというのは、子どもがある特定の人に示す愛着感情です。子どもにとっての心のよりどころとなり、心理的な安全基地として機能しています。よってほとんどの場合、その対象はママやパパということになります。

そのことからも、心理的なつながりが強い相手に自分のことを肯定してもらいたいという思いが関係していることがわかります。自分に対してリアクションしてくれるということは、その子の存在自体を肯定していることに他ならないので、その子にとって満足度の高い反応と言えるのです。

よく育児相談などで、「子どもの自己肯定感を高めるにはどうしたらいいか」というようなことを聞かれることがあるのですが、それを体現化したものが「見て見て期」とも言えるのではないでしょうか。

もしこの「見て見て」という思いが極端に満たされないまま成長してしまうと、後々注意引き行動が増えてしまったり、さらにそこでも満たされないままで行くと諸々の問題や悩みにつながったりすることもあります。そういう点からも、子どもからの発信に親が反応するということはとても大事なことであることは間違いありません。

しかし 先にお伝えした通り 子どもの「見て」という言葉に完璧に対応してあげられる人というのは、おそらく世界中見渡してもいないと思います。よって親としてはできるベストを尽くすというのがポイントになってきます。

ただこの「自分のベストを尽くす」という表現はやや曲者だとも思っていて、人によって捉えられ方が違うということを私のこれまでの経験で感じています。響く人には強く響き過ぎてしまい、響かない人には全く響かないことがあるのです。「ちゃんとやらないと」と思ってしまう人は、すでに頑張り過ぎている場合が多く、おそらくはこのようなタイプの記事にそもそも興味を持っていない方の中に、子どもの「見て見て」を極端におろそかにしてしまっている人がいると想定しています。真面目な人ほど100%を目指してしまいがちですので、そこの部分は自分にプレッシャーを与えすぎないように気をつけてほしいと思います。

忙しいパパ・ママ向けの「見て見て期」5つの対策

今の時代、時間に余裕がある人はいないと思うので、ここからは忙しいパパやママがどのように見て見て期に対応していったらいいのかを検討していきたいと思います。

その1●声だけでも反応する
子どもの「見て見て」の声からは距離があり、実際には手が離せずそこに行けないという場合、「ごめん、今、唐揚げ作っているからここから見させて~」などと声と遠目でリアクションをする

その2●「見て見てリスト」(メモ)として形にする
「今は忙しくて時間が取れない」「時間がかかりそうな見て見て案件かも」というときは、いったんその思いをメモにするのも手です。子どもは自分の思いをむげにされるのがイヤなので、いったん受け止めて形に残すという方法です。冷蔵庫に「見て見てリスト」をあらかじめ作っておくのもいいかもしれません。

その3●スマホで写真を撮ってもらいあとで共有する
これも似ていますが、その瞬間を残せるという点がメモ書きとは異なってきます。子どもの「見て見て」は後になっても見せられるものもあれば、その場限りのものもあると思うので、再現できないことは写真で収めてもらって後でじっくり見られるという利点があります。ただ一方でこの行為は子どもにスマホを渡すことになるため、その後の管理が心配、クセになるのではという不安もあるでしょう。有効な策ではありますが、気づいたら子どもが撮った写真だらけということにもなりかねないので注意は必要かと思います。

その4●別の誘いで気持ちを上手にそらす
以前ツイッター上で、「ちょっと待ってて」と言う代わりに、「ちょっと踊ってて」「ちょっと歌ってて」と言うと本当に踊ったり歌ったりで結果的に待っていられるという投稿が盛り上がっていたようです。メモ書き作戦とスマホ写真作戦とも共通しているのが、子どもの「見て見て」は親に何らかの形で取り合ってもらえると満足が行きやすいということです。「今はダメ」と直球で断るよりは別の形で置き換える方がうまく待てる可能性は高いでしょう。「踊ってて」も「歌ってて」も効果なしという子でも、「ゴロゴロ転がってて」「数を数えてて」だったら好反応ということもあるかもしれません。その子によって反応はそれぞれですので色々試してみる価値はありそうです。

その5●余裕のある時間に満たす
最後におすすめするのが、忙しい時間を見越して余裕のある時間に気持ちを満たしておくという方法です。これは「見て見て」に直接対応しているものではありませんが、子育ては全体像を見て対策を考えるとうまく行くことが多いです。そのからくりはこのようなものです。もし子どもが「見て見て」と言ったときだけ反応すると、「見て見て」の頻度は自ずと増えていきます。パパとママを振り向かせる手段だと感じるからです。一方、日ごろから「見てるよ~」という仕草を散りばめておけば、そこである程度の気持ちが満たされます。結果的に「忙しい時に限って見て見てって言う!」という状態を緩和することにつながるかと思います。

以上、小さい頃に見られる「見て見て期」についてお伝えしてきました。一過性のもので数年後には見られなくなるものなので、ポイントを押さえつつ、対応していきましょう。

著者プロフィール

育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:megumi-sato.com

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