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子育て

子どもの遊びを伝えるために! 活躍が期待される「プレイリーダー」

子どもの遊びを伝えるために! 活躍が期待される「プレイリーダー」

子どもの学力や体力の低下が深刻な問題とされている現代。その原因のひとつと言われている子どもの遊び不足を解消し、健やかな育みを助ける「プレイリーダー」の存在が注目されています。

今回は、株式会社ボーネルンドで開催されたプレスセミナー『子どものからだあそびを支援するプレイリーダーの役割とは』に参加し、長年に渡り子どもの遊びを研究している山梨大学教育学部長の中村和彦教授、株式会社ボーネルンド・遊び場運営事業部長の渡辺健さん、同じく遊び場運営事業部次長/プレイリーダー育成担当マネージャーの早川健太さんのお話を伺ってきました。

中村和彦教授
山梨大学教育学部長。子どもの遊びの重要性に関する調査・研究を行っている。文部科学省中央教育審議会専門部会委員。NHK教育テレビ内の体操『ブンバ・ボーン』、2020オリパラ応援ソング『パプリカ』のダンスを監修。

セミナーはまず、「健やかな育みのために-なぜいまプレイリーダーなのか-」という中村和彦教授の講演から始まりました。

日経DUAL記事

生まれてから10歳ぐらいまでに大事なのは、遊び

生まれてから10歳ぐらいまでの間の幼児期・少年期の子どもに何が大事か、それは遊びです。

遊びの中でいろんなことを考え、仲間と関わり、ケンカをしたり仲良くなったり、自分で自分のことをやっていけるような力をつけていく。あるいは、自分の将来のために、健やかに生きる術を覚えていく。子どもたちの育みにとって遊びは欠かせないものです。

我々は、子どもが遊ぶには3つの「間」が必要だと考えていました「時間・空間・仲間」、これさえ揃えば子どもは遊べると本気で言っていました。しかし、いまは3つ揃えても遊べないというのが実情です。

よくよく考えたら、遊びが消えたんですよね。遊びというものは、本来、大人が教えるものではなく、子ども同士の間で伝承していったものです。1980年代半ばぐらいから、子ども同士で遊ぶ場がなくなり、缶蹴り、ゴム飛び、三角ベースの野球など、伝承していた遊びがみんな消えました。

いまの子どもたちは、学力がない、体力がない、遊べないと言われていますが、それを言うのは大人の身勝手だと思います。子どもたちから遊び場を奪い、テレビゲームや塾・習い事を登場させ、体を使って遊ぶ時間を減らしたのは大人なのです。

【中村和彦原案作成】

遊びを届ける大人=プレイリーダーが世界で必要とされている

消えてしまった遊びをなんとか子どもたちに届け、先導する人が必要だということで、ドイツ発祥のプレイリーダーという存在が注目されるようになりました。遊びを届ける、遊びを配達する、プレイリードするという考え方の大人が、世界で必要とされているのです。

日本でも、ボーネルンドの『キドキド』で親子の遊びをサポートするプレイリーダーがいますし、企業や自治体でプレイリーダーを養成する取り組みも増えてきました。

子どもたちがいろんな遊びの中から、人数や季節によってあれやってみよう、これやってみようと選ぶ判断力。そして思考力を使って、ルールを変えたり工夫したりして遊ぶこと。そういった能力を育むために、プレイリーダーは面白く遊びを伝える存在です。

プレイリーダーが子どもたちに遊びを伝え、子どもたち自身が工夫して遊ぶようになったら、プレイリーダーはだんだん消えていくのが望ましいです。また、お父さんお母さんがプレイリードできるようになることも理想です。

中にはお父さんお母さん自身が遊びを知らない時代に育って、子どもとの遊び方がわからないという人もいるかもしれません。

子ども自身が、心地よく、面白く、のめり込んでいる時間が遊びだと思います。例えば、家で新聞紙を丸めてアルミホイルにくるんでボールを作って投げたりするのも遊びですし、お母さんと一緒に買いものに行くことも子どもにとっては遊びです。

楽しく体を使う遊びが、将来につながる

昨年の4月から新しい学習指導要領の移行措置が始まり、小学校体育科は、低学年の領域名にすべて「運動遊び」という言葉を取り入れることとなりました。水泳系は「水遊び」、器械運動系は「器械・器具を使った運動遊び」となっています。

クロールが泳げないといけない、でんぐり返しができないと成績が悪くなるなんてことはありません。それが子どもの発達段階に見合った指導なのです。ですから、幼稚園のうちからスイミングに通わせる必要なんてないのです。

事実として、小さいうちからスポーツを習っている子どもより、おもしろくのめりこむ遊びで多様な動きを経験した子どものほうが、大きくなってから運動能力が高かったり、運動が好きになったりするというデータもあります

子どもたちがいろんなところで遊ぶことが、将来大人になったときに持ち越されていきます。遊びそのものを持ち越すという意味ではなく、体を使うと気持ちいい、体を使うと面白い、そういう感覚を持ち越すことが大事です。

いま運動が苦手でも、運動することが楽しいと思うような仕組みを作って遊ばせることが将来につながります。そのために、プレイリーダーの育成、プレイリードする重要性を多くの大人が理解してくれることを願います。

プレイリーダーが常駐し、親子の遊びをサポートする『キドキド』

株式会社ボーネルンドが運営する室内あそび場『キドキド』は、プレイリーダーが常駐し、親子の遊びをサポートしています。

「2004年にスタートした『キドキド』は、6ヵ月から12歳の子どもを対象に、体を使って遊んだり、考えて遊んだり、なにかになりきってみたり、多様な遊びを親子で体験できるように設計されています。とくに高く評価されているのがプレイリーダーの存在です。プレイリーダーを媒介に、子ども同士、親同士がつながったり、親子の遊びが多様に発展したり、さまざまな効果を生んでいます」(株式会社ボーネルンド・遊び場運営事業部長 渡辺健さん)

全国30ヵ所のあそび場に、プレイリーダー・プレイサポーターと呼ばれるスタッフが400人以上いるという。どのような形で遊びをサポートしているのでしょうか。

「遊びの空間、仲間、時間は限られてはいるけれど、その中でいかに最善の遊びができるか、絶えずプロデュースし、失われてしまった遊びを保障するのが役目だと考えております。“やらせる”のではなく、“やってみたい”と思える遊びを作り出すことを意識しています。たとえば、トランポリンを飛ぶときに、『うさぎさんに変身してみようか』『次はカエルさんになって飛んでみる?』といった声かけをすると、子どもたちがワクワクしながら飛べるようになると思います。3~4歳ならトランポリンや回転遊具など体を動かす遊具遊び、5~6歳にはアスレチック遊具や組み立て遊びなど知的好奇心を刺激する遊びがおすすめです。」(株式会社ボーネルンド・遊び場運営事業部次長/プレイリーダー育成担当マネージャー 早川健太さん)

『キドキド』では親子参加型のイベントが随時開催されているとのことですので、そこに参加してプレイリーダーと関わることもできます。イベントや施設についての詳細はHPをご覧ください。(https://kidokid.bornelund.co.jp/

今回のプレスセミナーが、筆者自身の子育てを改めて見直すきっかけになりました。親子で遊ぶことが子どもの将来に大きく関わることを心にとめておきたいと思います。

著者プロフィール

大学生の頃よりファッション誌のライターとして活動し、主にインタビューページなどを担当。現在はママ向けライフスタイル誌やWEBに執筆中。小学生と保育園児の男子2人の母。

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