子どもの21世紀型スキル「4C」を飛躍的に伸ばす!家庭で実践できる簡単な方法とは?

子どもの21世紀型スキル「4C」を飛躍的に伸ばす!家庭で実践できる簡単な方法とは?

現在世界で重視されている教育に「21世紀型スキル」があります。なかでも「4C」と呼ばれる4つのスキルは、子どもが能力を存分に発揮し、幸せな人生を送るうえで重要とされています。4Cは国語や算数といった従来の勉強では学べませんが、実は日々の生活を少し工夫するだけで飛躍的に伸ばすことができるのです。忙しい親でも今日から家庭で取り組める簡単な4つの方法を紹介します。

日経DUAL記事

デジタル社会を生き抜くためのソフトスキル

グローバル社会を生き抜くために、国際団体の「ATC21s」が提唱している「21世紀スキル」。デジタル社会の現代に必要とされるソフトスキルで、子どもたちが将来成功するために不可欠とされています。いわゆる「勉強で身につける」能力とは違い、どのように困難を解決するか、どのように良好な人間関係に築くかなどのスキルを指します。

特に重要といわれているのが4Cスキルです。クリティカルシンキング(批判的思考)、クリエイティビティ(創造性)、コミュニケーション(意思疎通)、コラボレーション(協調性)の4つで、アメリカをはじめ先進国では幼少期から4Cを重視した教育が進められています。

簡単なのに効果抜群! 我が子の4Cスキルの育て方

今回紹介するのは、親が無理なく実践できる4Cのスキルアップ・テクニックです。特別な道具や準備は必要ありません。スキマ時間を使って子どもと楽しく取り組んでみてください。

1.コミュニケーション(意思疎通力)

ほかの人とお互い理解しあい、スムーズな意思疎通を図れる力です。子どもは、もっとも身近な人間関係である家族とのやり取りを通してコミュニケーションの方法を学んでいきます。親は少々忍耐が必要ですが、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。

取り組み方:
子どもに何か1つ「もの」を想像してもらいます。難しかったら、実際に家のなかから何かひとつ持ってきてもらいましょう。そして質問を通して、それが何なのかあてっこします。「どんな形?」「どんな匂いがするの?」「どんな風に使うの?」など。

ポイントは「はい・いいえ」で答えられない質問を選ぶことです。子どもに自分の言葉で伝えてもらいましょう。ゲームとして楽しみながら、どのように説明すれば伝わりやすいのかが学べます。

また子どもが何かトラブルを起こした時は、コミュニケーション力を伸ばす絶好の機会です。叱るのをぐっとこらえ、何が起きたのか、どうしてそのような行動をしたのか、どう感じたか、どうすればよりよい結果になったのかを、じっくり聞きましょう。落ち着いて話を聞いてあげることで、子どもはコミュニケーション力だけでなく自己肯定感もアップします。

2.クリティカルシンキング(批判的思考力)

与えられた情報や回答をうのみにせず、疑問を持ち、さまざまな角度から観察して自分の力で分析し、解決する力のことです。現代は子どもでも、ネットなどを通じて膨大な情報に簡単にアクセスできます。嘘や誇張表現もたくさんあるため、自分で吟味し見分ける力が必要です。

取り組み方:
子どもに質問されたら、答えを言う代わりに「どうしてだと思う?」と聞き返します。「どうしてトマトは赤いの?」「どうしてごはん前にお菓子を食べちゃいけないの?」などの質問に親はすぐに回答せず、なるべく子ども本人に答えを考えさせましょう。

これはシンプルながらとても効果のある方法です。質問されると、子どもは知識や記憶、アイディアなどを頭のなかから引き出し、組み合わせ、自分なりの答えを探します。子どもが自分の考えを言葉にできたら「なるほど、それは面白いね」と受け止め、さらに質問して内容を発展させたり、「もしこうだったらどうかな?」と別のシチュエーションを投げかけたりしてみましょう。こういったやり取りにより、多角的な方向から考察し、自ら答えを導き出す力が身につきます。

3.クリエイティビティ(創造性)

柔軟な発想を持ち、創造力を発揮できる力をいいます。この能力を育てるには、既成概念に縛られることなく、自由に物事を考えられることが大切です。

取り組み方:
変わったお題を子どもに投げかけてみましょう。「ママ、大きなメロンのおうちに住んでいる夢を見たんだ!お庭には甘いサイダーのプールがあるの。〇〇ちゃんならどんな家に住みたい?」。実際はありえないけど、想像したらワクワクするようなテーマがおすすめです。

子どもが答えたら、さらに「おうちのライトは何でできているの?」「どんな場所にあるの?」など、ディテールを掘り下げる質問を重ねましょう。最初は漠然としたイメージだったものが、質問されることで練り上げられて、よりクリアなイメージに強化されます。食事の時や電車のなかなど、ちょっとした空き時間に試してみてください。

またブロック遊び、粘土、お絵描き、ダンスなど、ルールのない遊びは想像力を伸ばすのにおすすめです。いつでも自由に遊べるように環境を整えておくとよいでしょう。

4.コラボレーション(協調性)

互いに相手の意見や気持ちを尊重しつつ、目標達成に向けて協力し合える力のことです。グローバル化がますます進む現代の社会では、自分とは異なる考え方や文化を持つ人と互いに認め合い、協力し合えることが大きな力となります。

取り組み方:
食事の準備に子どもを参加させましょう。例えばテーブルを前に「ごはんの準備がしたいの。何が必要かな?」と問いかけてください。「お箸がいるよ」「その前にテーブルを拭いたほうがいいかな」「コップもいるね」「じゃまずママがテーブルを拭くから、お箸を全員分お願いね」といった調子です。兄弟姉妹がいたら、彼らも巻き込みましょう。夕食準備を家族で協力して達成するイメージです。

飲みものをこぼしたときなどは親がさっと拭く代わりに、台拭きで拭く係、飲み物を入れ直す係を子どもに頼みます。全て終わったら、「おかげで準備ができたよ、ありがとう!」と感謝の言葉を忘れずに。

おわりに

この4Cの取り組みのコツは、「親は話しすぎないこと・子どもの言うことを否定しないこと」です。いろいろと口をはさんだり助け舟を出したりしがちなのが親心ですが、そこをこらえて子ども自身に主導権を持たせましょう。

デジタル化社会を背景に世界ではSTEM教育などが進んでいますが、テクノロジーをうまく使いこなすには、4Cのような人として不可欠なソフトスキルがより重要となります。次世代を担う子どものために、親が今できる取り組みをさっそく始めてみませんか?

執筆:長谷川サツキ

<参照URL>
https://static.battelleforkids.org/documents/p21/P21EarlyChildhoodGuide.pdf

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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