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小学校受験「行動観察」で学校側は何を見る? 突破のカギをプロが解説!

小学校受験「行動観察」で学校側は何を見る? 突破のカギをプロが解説!

小学校受験には、ペーパー試験と集団や個別でその子の様子を見るための「行動観察」という試験があります(学校によってはペーパー試験がないところもあります)。
学校によってその内容は異なりますが、どんな基準で採点をしているのか、その基準や内容については非公開なところがほとんどです。そこで、行動観察を突破するためのカギや、幼児教室ではどのような対策をしているのか、さらに家庭でできる対策について、伸芽会の牛窪先生にお話を伺いました。

日経DUAL記事

小学校受験の「行動観察」、コロナ以降の変化とは?

小学校受験の特徴である「行動観察」試験とは、その名の通り、子どもたちの行動を観察して、小学校が求める能力を持っているか、基準に達しているかを判断する試験です。

例えば、2022年度はこんな課題が出されました。
・自分たちで1人先生役を決めて、モニターに合わせて踊る(白百合学園小学校)
・友だちと協力して紙コップを高くする(成蹊小学校)
・作った玩具を協力して積み上げる(田園調布雙葉学園小学校)

幼児期がコロナ禍であった今の子たちは、各学校ともに「他者と関わる機会が減っている」ことを懸念しているのは事実です。
ですから、行動観察でもお友だちと「相談して」行うという課題が増えています。
初めて会うお友だちともコミュニケーションがしっかり取れるか、相手の気持ちになれるか、を見たいと考えて学校側は出題しているわけです。

気になる採点基準

学校によって「活発な子」「礼儀正しい子」「優しい子」「自立している子」など、その子に求めるポイントは違います。
採点項目も「積極性」「協調性」「社会性」「忍耐力」「生活力」「知識力」「人間性」など多岐にわたります。ですが、どの学校にも共通して求める子をあげるとすれば、
・感性が豊かで素直な子
・問題解決できる子
・最後までやり通せる子

ではないでしょうか。たとえば、集団制作やゲームの課題でも上手にできているかではなく、「順番を待っているか」「仲間に的確なアドバイスができているか」なども加点対象になります。実際に、ドッヂボールで最初にあてられてしまっても、その後一生懸命チームのお友だちを応援していた子が合格したというケースもあります。
また、集団で課題を行う中でちょっとした問題が起きた時に、チーム内の意見をすり合わせて「どう問題を解決していくか」「そのためにどんなことをしているか」も先生方は見ています。

絵画で受かる子と受からない子は何が違う?

たとえば、慶應義塾幼稚舎にはペーパー試験はなく、グループ遊びや運動、絵画制作などの行動観察の試験が行われます。そこで受かる子というのは、やはりキラリと光る子です。
もう少し具体的に言うならば、
・発想力が豊かである子
・得意な何かをもっている子

です。絵画や制作の課題で、「電車のことなら何でも知っているよ」と自分の世界やイメージを楽しみながら表現できたり、「ボールつきなら何回でもできるよ」と目を輝かせて夢中になれるものがあるかどうか。それらの“発想力”や“得意なこと”を、ご家庭でゆっくりはぐくまれてきたかを試験では見ているわけです。

つまり、小学校考査における絵画とは小学校で言う作文と同じで「何を伝えようとしているか」が一番大切であって、絵が上手、きれいに描けることは「字が上手、きれい」と同じだと思います。「絵『を』かくのではなく、絵『で』何を表現したいか、伝えたいか」が大切なのです。

行動観察で重視する3つの視点

小学校受験の行動観察では、
「学校に迷惑をかけない子」
「問題解決能力がある子」
「先生が教えてみたい子」
が重視されるポイントとなります。そのうえで具体的に以下の3つの視点を意識できるといいですね。

*自分以外のリズム、テンポに合わせられる
*自分以外の人の気持ちになれる
*自分以外の観点で見られる

たとえば、ケンケンパが先生の手拍子や音楽などのリズムに合わせられるか、共同制作で意見がまとまらないときに自分と違う考えの子の気持ちになれるか、ということです。
小学校に入学すると、担任の先生が1人で生徒30人を見ることになりますから、人に合わせられない自分勝手な子ばかりでは大変になってしまいますから、こうした視点がある子は行動観察を突破していけるはずです。

家庭でできる行動観察対策!

行動観察ではよくもわるくも普段の「素の部分」が出ますから、学校側は家庭の様子が見てとれるのです。そのためには、日々の生活の中で、お子さんだけではなく家族みんなの行動がカギとなります。気をつけたいのは以下のような項目です。

*目上の人(地域の人や園の先生など)に元気のよい挨拶ができているか
*家族みんなが協力してお手伝いをし、その約束を守れているか
*お店の注文の際、店員さんの目を見て対話しているか
*文房具や調理器具などの道具を大切に扱っているか

一見、当たり前のことのように感じますが、これらのことを家族全員が無意識レベルで自然にできるかは案外難しいものです。「パパだけソファーでスマホをしている」「注文時に無言でメニューを指さす」などはしていませんか? お子さんは親御さんのこうした普段の何気ない行動を見ているものです。
また、ご家庭では、お店屋さんごっこをしてこれらの力を楽しく遊びながら養うのも効果的です。すぐにできなくても、諦めずにコツコツ積み重ねていきましょう。

なんでも先取りは逆効果!? 幼児教育と早期教育は違う!

行動観察でわが子を“光る子”にするために、なんでも先取りするのは要注意です。混同されがちですが、幼児教育と早期教育は異なります。「3歳で九九が言える」とか「プリントを何十枚できる」といった早期教育は就学後でいいのです。それよりも、「自分なりの道筋でものを考えられる子」「学ぶことが楽しいと思える子」にすることが、結果的に“光る子”になっていくのです。
親御さんも普段から「これがないからできない」ではなくて「大丈夫、何とか工夫してやってみよう!」と思って行動したりお子さんと接したりすることで、お子さんが「問題解決できる子」「最後までやり通せる子」になり、将来さまざまな課題に立ち向かえるような光る子になるのではないでしょうか。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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