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教育改革に向けて小学校入試はどう変わる?「2020年度名門私立小学校 最新入試分析報告会」

教育改革に向けて小学校入試はどう変わる?「2020年度名門私立小学校 最新入試分析報告会」

先日、ハイアットリージェンシー東京で行われた、伸芽会2020年度の最新入試分析報告会。最新の情報とともに、来年度以降、小学校受験を視野に入れた親御さんに役立つ情報をいち早くお届けします。

日経DUAL記事

2020年度の入試の傾向をいち早く分析!

2020年度の小学校受験の、主要校の出願数から見た合格倍率としては(11月24日時点・伸芽会調べ)、慶應義塾幼稚舎:11倍、慶應義塾横浜初等部:約12倍、早稲田実業学校初等部:10.5倍、青山学院初等部:5倍、学習院初等科:8.5倍、成蹊小学校:5.4倍、暁星小学校:6.3倍、田園調布雙葉小学校:8倍強、東洋英和女学院小学部:6倍、日本女子大学附属豊明小学校:5.1倍、立教女学院小学校:7.8倍…という結果でした。

伸芽会教育研究所所長の飯田道郎先生による今年度の総評としては、

「子どもの数は減っていますが、私学国立主要校の出願数はほぼ横ばいといった印象です。これらの結果をどう見るか。2020年の教育改革で公立小学校が大きく変わろうとする中、求められる姿は私学や国立が今までやってきたことでした。改めて私学国立への魅力を実感しております。私学への合格を勝ち取るためには、正しい情報をしっかり見極め、お子さんの実力を上げることが必要不可欠です。そのためには、保護者が夫婦で役割分担をし、モチベーションをどう持続していくかなど、細やかな対策を考えていかねばいけないのです」

今年のペーパー、個別テストはどう変わった?

続いて、伸芽会教育研究所主席研究員である佐藤眞理先生より、今年のペーパー、個別試験の内容について。

「2020年の教育改革を前に、今年度の試験は変化を感じた年でした。教育改革でも掲げている考える力、表現力、コミュニケーション力、社会性、ルールに対する意識を見る課題が多くなってきています

ペーパー試験は、より日常に即した課題がイメージできるよう、カラーの出題が多く見られました。また、言語の理解力を求める問題が増え、指示が複雑になっています。「多い方に多い数だけ〇を書きましょう」「動物は●、鳥は▲、海は■を書きましょう」など、聞く力や理解力が問われる問題ですね。一方で、パターン化した定番の問題が少ない印象でした。

個別テストは、気持ちや感じ方を表現する課題が増えています。「どんな感じがするか」「自分ならどうするか」など、正解がない答えですので、相手に分かるように説明できることがポイントとなります。紐、ふろしきなどを使った生活習慣に関する手先を使う課題に関しては、今年も変わらず出題されていました。

気になる表現力&行動観察の問題とはどんなもの?

続いて、伸芽会教育研究所入試指導室室長の黒田善輝先生より、表現力と行動観察の試験の傾向について。

表現力テストで例年、絵画があるのは、慶應義塾幼稚舎、早稲田実業学校初等部、東京女学館小学校。共同絵画は聖心女子学院初等科、日本女子大学附属豊明小学校など。製作に関しては、慶應義塾幼稚舎、慶應義塾横浜初等部、青山学院初等部、田園調布雙葉小学校などで多く見られます。

「絵画の試験のテーマは、“あったかいな、気持ちいなと思うことを絵に描いて”。“ワクワク、ドキドキしたことを絵に描いて”など、普段の子どもたちに感じる心が育っていないと描けないものが多いです。日常的に“ママの手ほかほか”などと感じられる感性は、いい親子関係により築けたり、育つものです。普段の食事でも、ただおいしいなではなく、“トロっと甘くておいしいね” “サクサクしていていいね”など親が口にしていくと、子どもの感性はどんどん豊かになっていきます。感じる心、捉える目を大事にしていってください」

行動観察は自由遊びと課題遊びの2種類があります。自由遊びは女子校に多い傾向です。これは、女の子は“みんなが行くからそこに行く”という現象が起きやすいので、自分の気持ちに正直にやりたいことがちゃんと考えて行動できる子かどうかを見ているためです

一方の課題遊びは、共同絵画、リズム遊び、ごっこ遊び、集団ゲームなど。役割分担、提案力、皆の同意を得る力、周りと上手くやれる配慮や気遣いができるかなどを見るものです。

競争遊びは共学に多い印象です。どちらも、変化する環境に適宜働きかけられ、広い視野で人のことも考えられる子が求められます。“きみ上手だね”など、人を褒められたり、広い視野で人のことも考えられる子は素晴らしいですよね」

運動・面接課題の準備はどうすべき?

続いて、飯田先生より運動と面接課題について。

「運動の試験では、最低限の体力や運動神経、コミュニケーション力が見られます。私学国立は長距離通学になるので、それに耐えられる体力があるかということですね。まずは、たくさん歩いて、電車やバスで座席に座らず立って待つなど、手足の力をつけることから始めましょう。また、クマ歩きやリズム動作、ボール投げ、縄跳びなどの課題はノルマにせず、親子で楽しく体を動かすことがポイントです。さらに、注意点としては、特に男の子に多いのですが、一番にこだわりすぎると形が崩れたりリズムよくできませんから、競争ではないこと、待ち時間まで意識を高く待てるかも重要ですね

「面接に関しては、お子さんだけ、親御さんだけ、親子でなど学校によってさまざまです。お子さんへの面接は、先生方としっかりお話できるかで成長の度合いを見ています親子面接で、お母さんの顔色をうかがいながら受け答えするのも当然ダメですね。親御さんだけの面接では、学校への理解度が求められますのでしっかりとした準備が必要です。お子さんは家族以外の大人との会話に慣れること、親御さんは学校の研究はもちろん、子どもと一緒にどんな体験をさせるかも計画的に考えていくといいでしょう」

結局、どんな子が合格しているか。2021年度の対策はどうすべき?

最後に、3人の先生方に、どんな子が合格しているのか、また来年度の対策をお聞きしました。

合格しているのは、親子ともやるべきことをしっかりできた子(生活習慣、体験、課題はもちろん)、自分の判断で自発的に動ける子、感じたことが言葉として表現できる子です。
次年度の対策として注意していただきたいのが、課題をする際のモノの扱い方やお約束を聞く態度。丁寧にモノが扱えるかは、普段親御さんがお子さん自身と丁寧に接しているかで分かるものです。ぜひその辺も意識されてみてください」(佐藤先生)

「あれこれとお伝えしてきましたが、難しい課題をいきなりやらせないようにしてくださいね。経験もない幼児は、論理的に物事を考えられる回路が出来上がっていな時期です。焦らず少しずつ積み上げて、年長の夏以降に解けるようにしていきましょう」(黒田先生)

ポイントは子どもへの正しい負荷をかけること。負荷は弱すぎては意味がなく、強すぎると潰れてしまいます。2020年の教育改革では、“学びに向かう力や姿勢が大事”だと言われています。リーダー育成にこだわってきた私学や国立にとっては追い風になってくるだろうと予想しています。決して詰め込みすぎたり、先取りしすぎるのではなく、年齢に応じた正しい負荷をかけて対策していってください」(飯田先生)

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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