人気ライフコーチ、ボーク重子さんにインタビュー! 「子育てに終わりは必ず来る!日本人ママにこそ、パッションを」

人気ライフコーチ、ボーク重子さんにインタビュー! 「子育てに終わりは必ず来る!日本人ママにこそ、パッションを」

日本のメディアでも活躍中のアメリカ在住ライフコーチ、ボーク重子さん。今回は新刊『「パッション」見つけ方』(小学館)の発売を記念して、再びSHINGA FARMでお話を伺ってきました。ボークさんが日本人のママに今、どうしても伝えたいこととは?

ボーク重子
ボーク重子
作家・ICF会員ライフコーチ。アメリカワシントンDC在住。ロンドンで現代美術史の修士号を取得後、渡米し結婚・出産。2004年に現代アートギャラリーをオープンさせ、2006年には、ワシントニアン誌で「ワシントンの美しい25人」に選出される。一人娘のスカイさんは、2017年「全米最優秀女子高生」コンテストで優勝。現在は、全米・日本各地で、子育て・キャリア構築・ワークライフバランスについての講演会やワークショップを展開。『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)など著書多数。新刊は『「パッション」の見つけ方』(小学館)。https://www.shigekobork.com/

日経DUAL記事

人生の折り返し、50歳で女性は道が大きく二つに分かれる!

これまで、日本でもアメリカでも多くの女性のライフコーチをしてきたボークさんが、不思議に感じていたのが、50歳の女性が両極端な2タイプに分かれること。
「人生100年時代とすれば、50歳は折り返し。女性は子育てもひと段落してくるときです。

そんな彼女たちは

Aタイプ:「これから第二の人生のはじまりよ!」とイキイキする人
Bタイプ:「私の人生は一体何だったのか…」と自分自身が行方不明になっている人

という2つに分かれることがほとんどです。その違いは、「子育て中も自分の好きを止めなかったか、止めてしまったか」。一度止まった人生を動かすには大変なエネルギーが必要なんです。

アメリカには、定年という概念が存在しない!

私がアメリカに来て衝撃を受けたのは、何歳でも皆前を向いていること。70歳になる私の夫も、「これから将来何をしようか」といつも真剣に考えているのです。一方の日本は、「もう60歳だから…」などと年齢で物事を線引きして考えることが多い気がします。そもそも、アメリカやカナダ、EU各国には雇用の年齢差別はなく、定年は違法なんです。人生100年時代とすれば50歳60歳なんてまだまだこれから。私たち大人が歳をとるのが楽しくなかったら、子どもたちは明るい未来を描けません。子育て中のママたちも、シニアの人たちにもパッション=人生を前に進めるエネルギーを持つべきだと私は思うのです。

子育て中のママこそ、1日15分パッションの時間を!

日本のママは本当に優秀で頑張り屋さんです。働きながら子育てもして、家事もして…とても頑張っています。ただ、日本のママたちを取り巻く環境はまだまだよくありません。

社会的自立や、仕事でのさらなる活躍を期待される一方で、「家事や子育ては女性がすべき」という古い考えも未だ存在するのです。だから、頑張りすぎないで、ときに家事は手を抜いたっていいと私は思います。わが子のために、ママじゃなきゃいけないことに時間を割いてください。そして、目まぐるしい今の子育て時期にこそ、未来の50歳で立ち止まらないためにも、1日15分でいいので、自分の好きなことに費やす時間を持ってください。

今のママたちがふんばることで、子どもたちの将来や、日本の未来を変えることができると私は信じています。

習い事で子どものパッションの「芽」を見つけるコツ

娘のスカイは、幼少期にさまざまな習い事をしてきました。何かひとつ、彼女のパッションを見つけてほしいと思ったからです。娘の場合は幸いにもバレエというパッションに出会えましたが、数をこなせば見つかるわけではなく、その子によって向き不向きもあります。ですが、親主導で習い事をさせても長くは続かないし、それはパッションになりにくいということは言えます。そして、すぐに結果を求めないことも重要です。こなすことが目的になっていてはパッションにはなりません。遊びでも習い事でも、無理のない範囲で、親子で対話を続けていけば、きっと何か夢中になれることに出会えるはずです。

好きなことに没頭できる子は、ポジティブになれる!

「何時間でもやっていられる」、「それをしているときは話しかけても聞こえない」、それくらい没頭できることがある子は、心がポジティブになり、将来的にどんなことにも挑戦できる子になっていきます。入口はゲームでも漫画でもなんでもいいのです。その気持ちを真のパッションに変えていけるかは、親の関わり次第なのです。

家族以外の信頼できる大人と関わることで、子どもの非認知能力がUPする

兄弟も少なく核家族が主流な今の子にとって、身近な大人は両親だけという子がほとんどでしょう。ですが、両親の経験だけではとても限られてしまいます。ぜひ、お子さんには信頼できる大人にたくさん触れ合う機会を持つようにしてください。幼少期から多くの大人の生き方や考えを知ることで、子ども自身の視野が広がり、パッションをやり抜く上でも欠かせない、非認知能力を育む助けにもなります。

大人も子どもも「誰のためにそれをしたいか」で外向きのパッションになる!

好きなこと=パッションなのか、これは講演などでもよく聞かれます。たとえばゲームばかりしている子はそれがパッションなのでしょうか。

ここでポイントとなるのは、誰のためにしているかという“パッションの向き”です。

「ゲームをクリアしたい」といった自分のため(内向き)の好きは自己実現でそれも大切なことではあります。でも「もっとすごいゲームを開発してみんなを喜ばせたい、ゲームの楽しさをおじいちゃんにも教えてあげたい」といった誰かのため(外向き)という視点が加わった時にそのパッションはより大きな、そして強固なパッションになるのです。これを私は外向きのパッションと言っています。

事実、アメリカの幼稚園で、スカイは3~4歳の頃から「将来はどんな大人になりたいの?」と聞かれていました。日本では「大きくなったら何になりたい?」と聞きますよね。

この場合、日本では「ケーキ屋さん」、「ピアノの先生」「サッカー選手」と職業を答えるのに対し、アメリカでは「優しい大人」、「みんなに喜んでもらえる人」といった答えになるのです。

また、アメリカでは「地域や誰かのために何ができるか」を幼少期から考えさせるのに対し、日本では「周りの人に迷惑をかけないこと」に重きが置かれている気がします。

大人も子どもも、「〇〇のためにできること」を考えることで、「私はこんな人になりたいからこんなことをしたい。こんなことをして誰かの役に立ちたい」という自己実現プラスの外向きのパッションは育っていくのです。

まずは家庭の中で「ありがとう」の回数を増やすことから!

日本人は自己肯定感が低いと言われています。これでは、強いパッションを持ち、楽しい将来を描けませんよね。そのためにはまず、家庭の中で「ありがとう」の数を増やすことがポイントとなります。これは、わが家では娘が小さいときから、当たり前のように日々飛び交っていた言葉のひとつです。

たとえば、子どもがお手伝いをして自分の食器を下げたら「ありがとう」と言い、ママが料理や洗濯をしたら「ありがとう」と言われる。パパが運転してくれたら「ありがとう」と言う。とても簡単なようですが、長い時間一緒に暮らしていると家族同士が「何かをしてくれて当たり前」になってしまいがちです。でも、家族は上下ではなく横並びのチームなのです。

人にありがとうと言われた経験が多い子は、人のために何かをしてあげたいという気持ちが高まり、外向きのパッションへとつながっていくのです。これは、自己実現という内向きのパッションを外向きのより大きなパッションに育てるために0円で今日から実践できる一番のおすすめです。まずは3週間、紙に書きだしたりしながら意識的に行ってみてください。きっと良い変化が起こるはずです!

Photo:Fujiki Miho

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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