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どうなる令和時代!? 注目の「ディープラーニング」とは?

どうなる令和時代!? 注目の「ディープラーニング」とは?

先日4月3日~5日に東京ビッグサイトで行われた、日本最大級の人工知能展示会「AI・人工知能EXPO」。AIが台頭する令和時代はいったいどんな未来になるのでしょうか。私たちの生活から教育まで、人気のセミナーの模様を抜粋してお届けします!
※本店は業界関係者のための商談展です。一般の方はご入場できません。

日経DUAL記事

ディープラーニングって何?

まずは東京大学大学院 工学系研究科の松尾豊教授による「ディープラーニングの最新動向セミナー」から。セミナー参加者はなんと6000人! いかに注目されているかが伺えます。

私たちにはまだあまり馴染みのない“ディープラーニング”。これは、エンジンやインターネットに匹敵するくらいのものすごい技術的な変化だと松尾氏は言います。

ディープラーニングとは深層学習ともいいますが、多層のニュートラルネットワーク(人間の脳神経の数理モデル)による機械学習法のこと。AIがこれを学習できることになると、従来のアルゴリズムを使った機械学習と比べて、計算コストが抑えられ、多くの汎用化ができることから、産業化が加速しているのです。

身近な例でいうと、Facebookの顔認知レベル“Deep Face”やGoogleの人工知能が囲碁の欧州チャンピオンに5連勝したことなどがディープラーニングです。

日本ではどうなる?

「これからは、このディープラーニングをうまく活用できる企業が残ってくると言えます。ただ、インターネットで言うならディープラーニングは20年前。1999年当時のことを思い出してみてください。その頃はインターネットなんて信用されていなくて、Googleも検索エンジンが1億円で売れなかった時代。2000年代になって検索連動型広告と結びついて価値をもったんです」と松尾氏。

つまり、ビジネスモデルと結びついて初めてディープラーニングにも価値が出てくるということ。とはいえ、日本では年功序列がまだ強すぎるため、企業のトップの人たちの理解度レベルも、社会の理解も低い。人材育成に関しても、英語圏と比べて日本はかなり遅れをとっているそう。

「企業も社会も個人もAIについてリテラシーを上げて勉強し、まずは既存のコンテンツと組み合わせて使うこと。小さな成功からコツコツ、でも素早く実践することがポイント。そのためには法律を含めて社会を動かすモデルを作ることが大事です」と松尾氏。

専門分野のある学生が即戦力な時代になる!

そんな松尾さんが今注目しているのが、高等専門生の可能性です。

「画像認識、機械ロボットの適応にカメラ通信…ハードウエアを大人が一から勉強するのはかなりの時間がかかります。そこで、機械、電気、DL(ディープラーニング)という3種の神器を持つ今の高等専門生は強いんです! 全国高等専門学校によるディープラーニングのコンテスト(DCON)もあるくらいですから。彼らは自分たちのやっていることはこんなに価値があるんだと思ってもらいたいですね。ただ、説明やプレゼンが上手になるともっといいかな(笑)」と松尾氏。

改めて、いい学校に入れば終わりという時代ではなく、何を学ぶか、どうアウトプットしていくかがカギとなりそうですね。

さらに、私たちの生活面でいうと、「食のAmazon」のような食に関するグローバルなプラットフォームができるのではと松尾氏は予測していました。食の自動化は中国などでも進化が目覚ましいそうで、私たちの身近な点でいうと、一番大きな変化があるのではないかとのことでした。

Data is oil!

続いて、人工知能学会会長で三菱ケミカルホールディングス先端技術・事業開発室の浦本直彦氏による「AI活用の現状と今後の可能性」セミナーより。こちらも参加者6000人という超満員の会場でした。

浦本氏も今のキーワードはずばりディープラーニングだと熱弁されていました。AIにはいろんな解釈があるけれど、今は1950年代、80年代に次ぐ第三の人工知能ブームが来ていると言います。

浦本氏曰く、「在庫の最適化、需要の予測、異常品のチェックなどさまざまな分野で私たちの生活にもAIは活用されてくるでしょう。これらを予測し推測する“機械学習”には、データがカギとなってきます。ただし、実験の時間とお金を費やしたデータには限りがありますし、すぐに使えるデータが少ない、さらにそのデータが公平でない場合がありますよね。そこで今後は、たとえば手触りのいい素材のタオルを作りたい場合は、過去のデータの中から“いい手触りの数値”という欲しい答えが出てくるようになるかもしれません。これがディープラーニングです。今後は、自社のさまざまなデータを持つ会社は伸びてくると思います」とのこと。

AIは人間を超えるのか?

2045年にAIが人間を超えてしまうという“シンギュラリティ”説。安全面、モラルなどさまざまな課題も挙げられていますが、浦本氏は「簡単にAIは人間を超えることはないのではないか」と考えています。

「かつてATMが誕生したときに窓口の人間の仕事が減ると予測された。でも結果的に処理が各段に早くなったことで別の業務ができるようになり、窓口の人間は減ることはありませんでした。アドバンスト・チェスでも人間とAIが対戦することでさらなる強い手が生まれています」。

浦本氏の「今後はAIと人間が競うのではなく、ともにいい未来を造りあげていくことが大事なのではないでしょうか」という言葉がとても印象的でした。

これだけ多くの人がこの会場に集まり、世界中の専門家が数十年に一度の技術革新であると言っているディープラーニングの波がきていることは間違いなさそうです。私たちもAIリテラシーを上げながら、今後の動向を注視していきたいですね。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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