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幼稚園・小学校受験 合格のカギは「お手伝い」にあり!

幼稚園・小学校受験 合格のカギは「お手伝い」にあり!

お手伝いは、子どもにとって大きな学びとなり、また家庭の在り方がよくわかることから、小学校や幼稚園受験でもたびたび聞かれる質問です。そこで今回は、幼児期のお手伝いの始め方、年齢別で気をつけたいポイント、さらに幼稚園・小学校受験で合格する子たちがやっているお手伝いの「質」についてもまとめてみました。コロナ禍でお家時間が増えた今こそ、お手伝いを習慣化させる絶好のチャンスです!

伸芽会教育研究所 課長の麻生尚子先生
幼児教育歴20年。元幼稚園教諭でもある経験を活かし、幼児の発達段階に応じたきめ細かい指導により雙葉小学校、白百合学園小学校をはじめとする女子難関校から、国立を含めた難関共学校、また白百合学園幼稚園や豊明幼稚園などの幼稚園受験など幅広く合格者を輩出。
伸芽会教育研究所 理事 桑名高志先生
慶應義塾幼稚舎・早稲田実業学校初等部をはじめとする名門小学校へ多数のお子さまを送り込む。その実績と確かな指導力に絶大な信頼を得ている。伸芽’Sクラブの総責任者。

日経DUAL記事

なぜ幼稚園・小学校受験の面接で「お手伝い」が聞かれるのか

お手伝いを通して、その家庭の在り方がよくわかることから、小学校や幼稚園受験の面接でもたびたび聞かれるテーマです。子どもへの「おうちでどんなお手伝いをしていますか?」といった質問はもちろんですが、保護者への質問にも「どんなことに気をつけてお手伝いさせていますか?」と聞かれることもあります。

__幼児にお手伝いをさせる意味とは?
お手伝いをする意味は、“自分も家族の一員だ”という意識をつけることです。また、お手伝いをして「ありがとう」と家族から感謝されることで、自信や自己肯定感も身についていきます。ですが、幼児のお子さんの場合、お母さんが食事の支度中など忙しいときなどは「正直今はしてほしくない……」なんてこともあるかと思います。そんなときは、「今これをしてくれたらうれしいな」と別のお手伝いを提案して、やってくれたら「ありがとう、助かったわ!」と感謝の気持ちを言葉にして伝えてあげてください。もちろん、夫婦間などでも何かしてくれたら「ありがとう」が自然と飛び交うご家庭であるようにしたいですね。(麻生先生)

__面接では何と答えるのがいいのでしょうか?
どんな答えでもいいのですが、わが子が今どんなことに興味があり、そのお手伝いを通してどんなことができるようになったのか、どんな成長や気づきがあったのかを、親がきちんと見ているかを問うものです。お手伝いは、ただやればいいというわけではないのです。(麻生先生)

お手伝いで伸ばせる3つの力

子どもが、家庭でのお手伝いで学べることはたくさんあります。桑名先生によると、主に3つの能力が伸ばせ、結果的に幼稚園・小学校受験にも役立つ能力となるそうです。

・手先が器用になる(巧緻性)

食器を洗ったり、野菜の皮をむいたり、靴を揃えたり、洗濯物をたたんだり……。家の中でできるお手伝いでは細かい作業や道具を使うことが多いため、手先が器用になります。

・集中力がアップする(指示行動)

「2個の玉ねぎの皮をむいてくれる?」「洗濯物を畳んで家族ごとにわけてくれる?」など、頼まれたお手伝いを言われたようにすることで、集中力がアップします。これは受験でいう指示行動(指示通りに課題を行う試験)にも効果があります。

・自己肯定感が高まる(やりぬく力)

お手伝いの一番の醍醐味は、家族に認められる喜びや達成感を味わい、やる気が増し、自己肯定感が高くなることです。これは受験においても最後までやり抜く力へとつながります。

特に、最近の子どもたちは、「紐を結ぶ」「雑巾を絞る」「ほうきで掃く」といった昔ながらのお手伝いをする機会が減っています。実際そうした課題が小学校入試の試験で出ると、やったことがなくて困ってしまう子も多いようです。子どもにお手伝いをさせる際には、作業効率を考えたり便利な道具に頼りすぎずに、あえて昔ながらの手法で取り組んでみることも学びの上ではとても大事だと思います。

年齢別、お手伝いの始め方と出来る目安

では、何歳になったらどんなお手伝いがどこまでできるといいのでしょうか? 桑名先生に詳しく伺いました。

【3歳は“自分でできる!”を増やす時期】

3歳になったらまず、身の回りのことが自分でできるように練習しましょう。
・自分で脱ぎ着する
・洋服をたたむ
・洗濯かごに入れる

などは時間がかかってもできるはずです。

また、おままごと感覚でできるお料理のお手伝いもいいでしょう。
・枝豆をちぎる
・玉ねぎの皮をむく
・ボールで食材を混ぜる
  などは大好きなはずです。

掃除に関しては
・雑巾がけ
・窓拭き
・ほうきではく
・洗濯バサミをつまむ
 こともできるでしょう。

お裁縫のまねごとで
・太い紐をビーズに通す
・お箸で丸めたティッシュペーパーをつまむ

といったことも遊びながらしておくと手先が器用になってきます。3歳はできることを増やして、褒め、やる気が高まる工夫をしてあげる時期と考えましょう。

【4歳はお手伝いに “気づき”をプラスして】

4歳になるとハサミなどの「道具を上手に使えるよう」になってきます。料理では、子ども用の包丁もありますから、
・野菜をカットする→形の違いを意識する
・大人と一緒に炒める→手順を意識する

など簡単な調理もできるでしょう。その際、「同じ野菜でも切り方で形が変わるね」「玉ねぎは切ると涙が出るね」「ジャガイモは沈むのにトマトは浮くよ」といった体験を通した気づきを大事にしてあげると学びがぐっと深まります。

また、料理の「手順」も理解できてくる頃。切って、炒めて、盛りつけるといった段取りを知ることは、勉強をする上でも物事の先を読む力や考える力が身につきます。「次は何をするんだっけ?」など流れを理解しながら一緒に料理をするのもいいでしょう。

掃除に関しては
・雑巾をしぼる(ひねる)
・紐を結ぶ

といった動作を身につけてほしいですね。たとえば、カーテンを束ねるものをタッセルではなく紐やリボンにし、毎朝結ぶお手伝いを日課にするというのもひとつの方法だと思います。

【5歳は道具を巧みに使い“仲間”を見分ける訓練を】

5歳はさらに「道具が自在に操れ、使い分けも理解できてくる」頃。また、ものを比較して「似ているところ(類似点)、違うところ(差異点)や同じ仲間を見分ける力」をつけていく時期です。

料理では
・必要な道具を使ってお皿に盛りつける
・料理に応じたカトラリーを人数分セットする
・料理を人数分取り分ける
・飲み物をコップに注ぐ
・テーブルまで配膳をする

など、必要な道具を準備し、料理を人数分取り分けることで数量の感覚も見につきます。

また、配膳もきちんとできてくる頃。料理をお皿に取り分け、飲み物をコップに注ぎ、トレイにのせて運ぶことでバランス感覚も養えますし、小学校に入ってから給食で配膳をするところも多いので、年長さんになったら少しずつ練習をしておくといいでしょう。

掃除に関しては
・雑巾を固く絞れる
・蝶結び

がきちんとできるといいですね。エプロンを結ぶ後ろ手(背中)で結ぶ、靴紐を結ぶなど、何かを結ぶ機会を日々の生活の中で積極的に取り入れてあげましょう。

合格する子たちがやっているお手伝いとは

では、ご家庭でお手伝いをさせる際にどんなことに気をつければいいのでしょうか。幼稚園・小学校受験で合格するお子さんたちが実践している、お手伝いの4つのポイントを麻生先生にお聞きしました。

その1 ご褒美作戦はなるべく使わない

お手伝いは家族の一員として自主的にできることが理想です。ですから、私の考えとしては「お手伝いをしたら何かをあげる」などのご褒美は作らない方がいいと思っています(シールでモチベーションアップなどはOK)。ご褒美制度にすると、それがないとお手伝いを積極的にしなかったり持続しないことが多いためです。その代わり、お手伝いしてくれて当たり前と思わずに「すごく助かったわ、ありがとう!」の感謝の言葉は毎回伝えることを忘れずに。お手伝いのルール決めは最初が肝心です。ぜひ、ご家族でよく話し合って決めてください。

その2 お手伝いしない日をつくらない

「お風呂掃除を必ず毎日やる」といったノルマにしてしまうと「今日は疲れたからやりたくない」と長続きしないものです。そんなときは「約束と違うでしょう!」ではなく、「じゃあどんなお手伝いだったらしてくれる?」でOKです。お手伝いしない日を作らず、お手伝いを当たり前にするようにしていきましょう。その際、「だってパパも何もしてないよ!」と言われないように、ご家族全員が家事を分担できるといいですね。

その3 興味を持った家事をお手伝いにすればいい

お風呂掃除が好きな子、洗濯たたみが好きな子、アイロンがけが好きな子、お料理が好きな子。その子の性格や発達に応じて、お手伝いへの興味関心はさまざまです。大人でも好きな家事と苦手な家事があるように、子どもでもやりたくないお手伝いもあります。こちらから「これをやって」と押し付けるのではなく、子どもから「やってみたい!」というタイミングがはじめどきです。

その4 年長さんになったら質にもこだわる

家族の一員となるためには、たとえお手伝いと言えども、後から親御さんがやり直す必要がないくらいのレベルにもっていきたいもの。年長さんになったら、「タオルをたたむときは端と端を揃えようね」「サラダにミニトマトを3個ずつわけてみて」など、お手伝いの質にも注意してアドバイスしながら、どんどんレベルアップしていきましょう。

お手伝いから学べることは無限大!

お手伝いという経験から子どもたちが学べることは無限にあります。麻生先生、桑名先生に「お手伝いから学べること」についてお伺いしました。

お手伝いで「失敗」させる経験も大切です
ある程度できることが増えてきたら、今度はあえて失敗させて学ぶ経験もさせてみましょう。わが家の3歳になる息子は、ご飯を炊くお手伝いが好きなのですが(米とぎはまだ難しいので、無洗米にしています)、水を2合のメモリに合わせるのは私がこっそり微調整していました。でも先日、あえてメモリより多い水を見せてそのまま炊いてみたところ、「少しお水が多いと、べちょべちょなごはんになるんだね」と自分で気づくことができました。「線に合わせるとおいしいごはんが炊ける」と実体験してから、今までより注意している様子が見られます。親が先回りしてしまいがちですが、あえて小さな失敗をさせることも大事なのだなと改めて感じました。(麻生先生)

お手伝いは世の中に「守るべき決まりがある」と知ること
お手伝いは一度できたらOKではありません。「新聞を取る」など何でもいいので、まずは毎日できる役割を子どもに与えましょう。「世の中には決まりがあり、決めたことは守る」というルールを身につけることはとても大事なこと。
特に飽きっぽい男の子は、お手伝いを毎日させるのが難しいという声も聞きます。そんなときは、「今日から4歳だね、じゃあ新しい係をお願いしようかな!」など誕生日をきっかけにするのも効果的です。
あとは無理のないお約束にし、できたらシールを貼る、点数制にするなど、ゲーム感覚でしていくのもいいでしょう。続けるためにはお手伝いを見える化することは男女問わずとても効果があると思います。(桑名先生)

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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