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一貫校に向いているのはどんな子? 知っておきたい「一貫校」のメリット・デメリット

一貫校に向いているのはどんな子? 知っておきたい「一貫校」のメリット・デメリット

幼稚園・小学校から高校・大学まで続く附属の一貫校か、節目で受験をする進学校か……。わが子の学校選びで避けては考えられないのが「受験のタイミング」でしょう。

そこで、伸芽会教育研究所の麻生先生に、一貫校のメリット・デメリットから、どんな子が一貫校に向いているのか、さらに最近注目を集める幼小連携の一貫校の魅力についても詳しくお話を伺いました。

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過熱する中学受験も一貫校人気の追い風に

__中学受験を避けたいと「一貫校」を志望される方は増えているのでしょうか?

特に都心部では、8割以上が中学受験をする公立小学校があったり、低学年から塾通いをしたりと、中学受験熱が高まってます。子どもはもちろん保護者の負担も大きいため、それを避けるために幼稚園受験や小学校受験で一貫校に入学させたいと考える保護者の方は増えていると思います。

「一貫校=一度入学したらあとは楽!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、学校によっては、そうでないこともあります。

たとえば、今は中学受験が前提の小中一貫校も少なくありません。中学受験を見据えて、塾に通わなくても学校側が学力や気持ちを自然と受検に向くようサポートしてくれる学校は実際人気があります。

また、特に最近の保護者の方は、「自分の力で未来を切り開いていく力を養ってほしい」と考え、小学校から一貫校に入学しても中学や高校のタイミングで他校への受験を希望される方も多くなっています。

知っておきたい! 一貫校のメリット・デメリット

__一貫校のメリットとデメリットについて教えてください

メリットかデメリットかは保護者の方の価値観や考え方、置かれた環境によるところが大きく、ある人にはメリットになることが別の人にはデメリットになる場合もあります。ここでは、一般的なケースとして両方の側面から解説していきたいと思います。

【生活面】
進学していく先にいつも先輩がいて、“将来のロールモデルが身近に感じられる環境”は、子どもにとって大きな価値となります。 “一緒に過ごしたお姉さんお兄さんがいる安心感”もあるでしょう。また、私学は公立と比べて先生の異動が少ないため、長きにわたって成長を見てもらえるというのもメリットです。心身共に大きく成長する時期に、9~12年かけてその子が生きていくための基盤を育てていくことができます。

一方で、一貫校の場合、中学3年生としての区切りの意識が薄いため、中高が一緒の部活などは、本来最高学年である中3のリーダーシップや活躍する機会が先延ばしされることがあるかもしれません(部活によっては使用するボールのサイズが違うなどの理由により、中高を別にしている学校もあります)。

【学習面】
成長するステージごとに課題への取り組みも変わりますから、目標に向かって長期スパンで体得できるのも一貫校のメリットです。中には高2までで高校の学習範囲を終え、高3は大学受験に専念できるようなカリキュラムになっているような学校もあります。これも一貫校ならではです。

一方で、「もし合わなかったときに外に出るのが大変なのでは?」と心配される方もいるかもしれません。もちろん、他校と学習の進度差が出る可能性もありますが、特に中高一貫校では大学の指定校を使って他大学への進学もできるので、将来が狭まるというより、むしろチャンスは広がると考えていいと思います。

【友人関係】
長きにわたり一緒に過ごすことで、一生涯の親友ができるという大きなメリットがあります。その一方で、最初にできた友人関係のポジションが決まってしまうと、途中で変えていくのが難しい場合があります。とはいえ、そのあたりは学校側も十分理解しているので、対応されているはずです。

「4-4-4制」など独自の区切りも一貫校ならではの魅力

__一貫校ならではの特徴としては、実際にどんなものがありますか?

聖心女子学院(初等科・中等科・高等科)や開智学園(小学校・中学校・高等学校)では発達段階に応じて最適な学習を行うため、3つに分けた「4-4-4制」を用いています。10歳で次のステージにという一貫校ならではの独自の区切り方です。

また、青山学院(幼稚園・初等部・中等部・高等部・大学)では英語教育において初等部から「4-4-4制」を採用しています。玉川学園(幼稚部・小学部・中学部・高等部・大学)では、「3-5-3-4制」で校舎もわけるという独自のスタイルを掲げています。

一般的な卒業式を行わないこともあるため、節目を感じる感覚は少ないかもしれませんが、こうした取り組みは、中学受験や高校受験がない一貫校だからできることです。

文科省も注目する「幼小一貫教育」の魅力とは?

__幼小一貫教育の魅力について教えていただけますか?

幼稚園から小中高校、大学と一貫した教育理念でのびのびと学べる環境は幼小一貫ならでは。受験の節目ごとに大きな変化がないので、じっくりと腰を据えて学んでいけますから、“後伸びできる子”が多いと言えます。

代表的な幼小一貫校としては、雙葉小学校附属幼稚園、暁星幼稚園、学習院幼稚園、白百合学園幼稚園、東洋英和幼稚園、青山学院幼稚園、日本女子大学附属豊明幼稚園などがあります。

受験というと小学校や中学受験が一般的なため、幼稚園受験はどうしても母数は少なくなるかもしれませんが、子どもの成長における土台は幼児期の過ごし方が大きく影響してきます。太くしっかりした根をはり、その後太い幹になるかどうかは幼児教育次第なのです。

幼児教室 伸芽会では、幼児教育の重要性を信じて60年以上も前から取り組んできましたが、ここにきてようやく国が幼児教育の重要性をうたっています。

知っておきたいポイントとしては3つ!
① 2018年に保育所保育指針と幼稚園の教育要領、幼保連携型認定こども園の教育・保育要領が改定され、保育園を幼稚園や子ども園同様、「幼児教育を行う施設」と位置付けた。

② スムーズな小1のスタートが切れるよう、小学校に入る前に身につけたい「10の力」を打ち出した。
1健康な心と体 2自立心 3協同性 4道徳心と規範意識の芽生え 5社会生活との関わり 6思考力の芽生え 7自然との関わり・生命尊重 8数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚 9言葉による伝えあい 10豊かな感性と表現

③ 2021年に文科省が、幼小連携を見据えた架け橋特別委員会を設立した。

こうしたことから見ても、今後、日本でも幼児教育の重要性がますます広まっていくことが予想されます。そして、伝統ある私立や国立の幼小一貫校では、開校当初からこうした幼小教育の連携を図っているため、今改めてその取り組みや魅力が注目されているのです。

一貫校で伸びる子・振るわない子の特徴

__一貫校で伸びる子とはどんな子?

学習はもちろん、運動でも芸術面でも、「自主的に学びたいことがある子」は大いに伸びるチャンスがあります。たとえば、サッカーが有名な暁星小学校など文武両道の一貫校は、スポーツだけ頑張っていればいいのではなく、学業の成績も優秀でないとレギュラーになれないことがあります。そうした、「何か頑張りたいことをエネルギーに変えていける子」は一貫校でも伸びていけるでしょう。

__せっかく厳しい一貫校に入っても成績が振るわない子とは?

一貫校は節目に厳しい受験がないので、進学校のように「必至に勉強をする環境」ではありません。ですから、ただぼーっと過ごしていては成績が振るわず苦労するかもしれません。結果的に成績が振るわず中学高校に進学できないケースもあります。ですから、親がある程度意識を持って、学校側と両輪で関わっていくことが大切です。

実際に、「勉強を学校だけにまかせない」という考えから、塾に通わせる方も一定数いらっしゃいます。とはいえ、受験のための塾通いではなく、興味関心を伸ばし、可能性を広げるための塾と言う考えの方が多い印象です。

一貫校に向いている子はどんな子?

__一貫校に向いている子と向いていない子の違いとは?

一貫校は、幼稚園や小学校から入学して10年以上も同じお友達と過ごすわけですから、協調性やコミュニケーション能力が高く、仲間を認めていける子は向いていると思います。ご家庭の方針として、そうした社会性や協調性を伸ばしたいと考える(もしくは得意な)お子さんは、一貫校でも輝ける子と言えます。

一方で「努力できる」「あきらめない」「自分の意志がはっきりとある」傾向があり、そこを長所として伸ばしたいと考える場合は、一貫校ではなく節目で受験をする進学校でもいいかもしれません。

とはいえ、幼稚園のときは分からなくても、中学高校に上がる節目のタイミングで「そのまま一貫校で上にのびやかに上がるべき」か、「たくましさが強いので外に出てみよう」など軌道修正も可能です。

一貫校を出るのは後ろめたい気持ちもあるかもしれませんし、学校側もできれば最後までお子さんを預かりたいと思っているでしょう。でもきっと、最終的には「その子が選んだ道を応援しよう」と寄り添ってくれるはずです。

一貫校の特徴についておわかりいただけたでしょうか。国も注目する幼小一貫教育。お子さんの学校を選んでいく上で、大きなポイントになりそうですね。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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