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池上彰さん初の小学生向け教養本! 「これからの小学生に必要な教養」とは?

池上彰さん初の小学生向け教養本! 「これからの小学生に必要な教養」とは?

お金、政治、歴史、SDGs、インターネット。
メディアでもお馴染み、ジャーナリストの池上彰さんがこれからの小学生に向けて書き下ろした初の教養本『池上彰のこれからの小学生に必要な教養』(主婦の友社)が発売。
池上さんが子どもたちにどのような思いを込めて作られたのか、編集者の金澤さんにお話を伺いました。
小学生(中学受験にも!)はもちろん、世の中のことに興味がある未就学児や大人の学びにもなる一冊です。

日経DUAL記事

「学校では教えてくれないけれど知ってほしいこと」がたくさんある!

__なぜ今回は小学生向けの教養本をテーマにされたのでしょうか?
編集部では、小学生向けの児童書を多数編集する中で、保護者の方たちに「どんなことをわが子に知ってほしいか」というテーマでアンケートを定期的にとっているんです。
その中で親御さんは「お金のこと」「日本の歴史」「ジェンダーのこと」「世の中のしくみやルール」といった、学校では教えてくれないけれど子どもには必要なことを知ってほしいと考え、また自分で教えるのは難しいとも実感しているという回答が多く見られました。

そこで、それらを1冊にまとめた児童書を作ろうという企画があがり、池上さんにオファーさせていただきました。
池上さんはNHK子どもニュースのお父さん役もされていたので、子どもたちに伝えることには慣れているのではと考えたからです。
これまでの池上さんの著書にも幅広いターゲットの本はありましたが、小学生に限定したものは今回が初となるそうです。

「学校では教えてくれないけれど知ってほしいこと」がたくさんある!

これからの小学生には「SDGs」や「ネット」も不可欠!

__5つの分野はどのように決められたのでしょうか?
先述したアンケートをもとに決めていきました。
池上さんということもあり、「お金」「政治」「歴史」はマストだろうと考え、さらにこれからの小学生へ向けた今の時代の教養という意味で、「SDGs」と「ネット」の5つにしました。
どれも小学生の親御さんがわが子に「こういうことを知ってほしいという」ラインナップになったと思っています。
ネットに関しては、最近の小学生にとっては切っても切り離せない存在ですし、炎上や犯罪を心配する親御さんがとても多かったのは印象的でした。
すべてを網羅するのは難しいですが、ネット社会の入口として重要なテーマをピックアップしています。

これからの小学生には「SDGs」や「ネット」も不可欠!

地球温暖化が進むと回転ずしが食べられなくなる?

__特にこだわったページを教えてください
池上さんはジャーナリストなので、世の中の仕組みやルールの方面にしぼった内容にしています。
また、内容が固いものが多いので、イラストや4コマ漫画を多用し、小学生にもイメージしやすくなるよう工夫しました。
さらに、例えば「地球温暖化で海水の温度が上がっている」という事象も「大好きな回転ずしもなくなっちゃうかもしれない」、ちょっとイメージしにくい税金のことも「コンビニでお菓子を買うとき、消費税を払っている」とすることで、より身近に感じ、「自分にも関係あるんだよ」「なくなると困る!」などと思ってもらえるよう意識して編集しました。

日本が仏教国になった理由がウイルスだった!?

__池上さんにお話を伺って特に印象的だったエピソードはありますか?
この本の取材をしたのが、まさにコロナ最盛期だったのですが、池上さんから「ウイルスが人間の歴史の大きな事件に関わっている」というお話があり、印象に残っています。

詳しくはこの本のP128~129に書かれていますが、たとえば第一次世界大戦のときに、スペイン風邪が大流行し、敵も味方も多くの兵士がしに、終戦となったこと。
日本でも、奈良時代に流行した天然痘というウイルスで100万人以上の人が亡くなり、聖武天皇が人々の気持ちを落ち着かせようと考え、広まったのが仏教だそうです。
日本が仏教国になった理由がウイルスだったなんて驚きですよね。
まさに池上さんらしい教養の引き出しだなと思いました。
子どもたちも、こうした知識を、修学旅行などで奈良の大仏を見たときに友達に説明できたらかっこいいですよね。

日本が仏教国になった理由がウイルスだった!?

「戦争」や「政治」も小学生が自分事に感じられるように

__5つのテーマのうち、一番苦労したテーマはどれですか?
ウクライナとロシアの戦争がはじまりぜひ知ってほしいという親御さんたちの希望から「戦争」をテーマに入れたのですが、大人にとっても遠くの出来事に感じてしまいがちな戦争を子どもたちの自分事にするのは難しかったですね。

日本も過去に戦争をしてきたという歴史、さらに日本やイギリスのように海に囲まれている国は戦争に巻き込まれにくいといった地政学を盛り込みながら説明しています。
小麦などの材料が足りなくなってパンの値段が高くなっているのは戦争の影響があるんだよ、と親御さんがお子さんに説明しながら戦争の章を一緒に読んでいただくのもいいかもしれません。
「政治」も子どもには関係ないイメージが強いかもしれませんが、選挙権が18歳になったこともあり、「近い将来に選挙に行くには政治のことも知らないと!」と自分事に感じやすくなったとは思います。ちなみに、選挙に行かないと罰せられる国もあるんですよ。

池上さんが考える教養とは「知識の運用力!」

__この本をどのように活用いただきたいですか?
実際に本を読まれた読者の方からの声としては
「自由研究のネタにします!」
「ニュースに興味を持つようになった」
「中学受験の勉強にも役立ちそう」
「文章が自分で読める量でイラストとのバランスがいい」
「子どもへの説明の仕方の参考になった」

といった嬉しい声をいただいています。

私もこの本を編集する中で、改めて子どもに伝わるように説明するのって難しいなと感じました。
子どもに聞かれて分からないことがあるとネットやYouTubeで検索する親御さんが多いそうですが、この本を調べる手段の一つとして、リビングの手の届くところに置いていただけたら嬉しいです。

最後になりますが、池上さんが考える教養とは「知識の運用力」だそうです。
「物知りでも使える知識でなければ意味がない、必要なのは知識を組み合わせて使う力だ」とも。
冒頭の漫画にもありますが、例えば「差別」という意味だけ知ってもなくなりませんよね。

意味を知った上で「なくすにはどうすればいいか」を総合的に考えたり行動するのが最終目標となるのです。
また、「教養の引き出しのある人は、困ったときに友達から頼りにされる」というのも小学生にとても分かりやすいメッセージだと思います。
この本がそういった教養の土台になれば幸いです。

小学生向けと書きましたが、子どもが興味を持つタイミングは人それぞれなので、未就学児で「なんで?」と興味を持つ子もいるでしょう。
いつ子どもが興味を持つかわからないからこそ、親もこういった本で準備しておくといいかもしれません。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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