「日本初小中学生動画コンテスト」受賞作品が決定! 動画制作で身につく、これからの時代に不可欠な力とは?

「日本初小中学生動画コンテスト」受賞作品が決定! 動画制作で身につく、これからの時代に不可欠な力とは?

次世代のクリエイターの発掘育成を目的に、㈱フルマの主催で行われた、日本初の小中学生向け動画コンテスト。コンテストの経緯やファイナリストに選ばれた作品や子どもたちを取材しました。

日経DUAL記事

勉強、スポーツと同じように動画クリエイターも世の中の評価軸のひとつに!

__コンテストの経緯を教えてください。

なりたい職業にYouTuberがランクインするなど、動画が身近になった今の子どもたち。動画を見るだけでなく、実際に作ったりチャンネルをもって発信している子も増えています。そんな中、誰かを喜ばせたい、笑顔にしたい、役に立ちなど熱い想いをもった小中学生の動画クリエイターを発掘、育成し、社会とつながるきっかけになればと思い、このコンテストを開催しました。

__子どもが動画を作る際に注意すべきことはなんでしょうか?

動画を見ている子どもたちは多いですが、「見るから作る側」になるには、視点を変える必要があります。主には以下の3つです。

その1 ネットリテラシー
見るという「消費者」から作って発信するという「生産者」になるわけですから、著作権や映っていけないものなどに関する知識(リテラシー)を知る必要があります。

その2 他の人からどう見られているかの「他者視点」
自分や仲間内が見て面白いのではなく、不特定多数の人たちが見てどう思うかという客観的な視点をもって作ることが大切です。

その3 本気でやりたいかの覚悟
企画をして撮影をして編集をする。動画作りは思っている以上に手間がかかる作業です。それを知った上でもやってみたいかどうかはあらかじめ確認しておくといいでしょう。(もちろん最初から完璧にできる必要はありません)

__動画制作は小学生でもできるものですか?

今は使いやすいアプリもありますから、操作を覚えれば小1でもできます。私たちの動画クリエイタースクール(https://fulma.com/)に通っている子たちをみていると、小学生でも「他の人からどうみられるか」「再生回数をどう伸ばすか」「独自のスタイルを曲げない子」とさまざまです。

__動画制作に向いている子はどんな子ですか?

・細かい編集を楽しめる子
・こだわりを持ってやり切れる子
・ゴールに向かってもの作りが好きな子
・レゴ作り、イラスト、パズルなどが好きな子
・好きなことに夢中になれる子

は向いていると思います。勉強、スポーツと同じように、キッズクリエイターも世の中の評価軸のひとつになっていけたらいいなと思っています。

動画制作で身につく3つの力

__動画制作をするとどんないい影響がありますか?

主に3つのいいことがあると考えています。

1、クリエイターへのリスペクト視点
子どもたちが口をそろえて言うのは「普段見ている動画が作る側の視点で見られるようになった」ということです。音楽の使い方やカット割りなど編集視点で見えてくると、動画クリエイターへのリスペクトも生まれてきます。

2、ICTスキルの上達
それらに加えて、動画編集スキルの上達も見込めますから、今後学校や就活でも動画で提出する機会が増える際に役立つはずです。

3、抽象化の思考訓練
私たちのスクールでは、最初に「誰に向けて、どういう理由で」動画を作るかの企画シートを作成しますが、これは大人になったときに商品や記事、ユーザーを意識したアウトプットの思考訓練につながります。この作業を繰り返すことで、客観的に自分を見られるようになり、人前でのプレゼンも得意になっていきます。実際、子どもたちを見ていると話す力が伸びていると感じます。

13歳までにリテラシー教育を!

__子どもが「SNSをやってみたい」と言いだしたら親はまずどうすべきでしょうか?

心配ですし、制限したくなる気持ちもわかりますが、どこで開放するかを考えてみてください。13歳でアカウントは作れますから、いずれ触れることになります。危ないこともありますが、うまく使えば評価されるチャンスにもなります。適度な距離感を大事にしながら、SNSを見る側から発信者側になる練習をしていきましょう。私たちは親御さんに以下の約束を推奨しています。

【SNSを始める前に親子で約束したいこと】
・SNSのリテラシー教育を親子で学ぶ(価値観は家庭それぞれであることも!)
・ライブ配信はしない!(アーカイブが残る可能性があるため。アカウントを保護者が管理していれば最終ジャッジは保護者ができる)
・動画配信は限定公開で行う
・ルームツアーや近所を紹介しない
・アバターで「顔が出ない」には注意!(視聴者のコメントやうっかり個人が特定されることを言ってしまう場合もある)

お子さんの「やってみたい」というモチベーションや「発信したい」欲求と安全性をバランスよく守るのがコツです。まずは限定公開のYouTube配信が健全だと思います。それができるようになってから、ライブ配信を検討しましょう。

受賞作品はこちら!

12/3に日本科学未来館で行われたファイナリスト大会。180名のクリエイターの中から選ばれた受賞作品をご紹介します。

■最優秀賞 「浦島太郎のリベンジ」大宮康子さん

普段は弟さんのゲーム実況動画を作っていた大宮さんが、今回は姉弟でお互いのアイデアを取り入れて何度もやり直しながら浦島太郎のパロディ作品に挑戦。努力したポイントは衣装、背景、素材選び、エンディングだそう。「今日ここに来ただけでもうれしかったのに、最優秀賞までいただけてうれしいです。編集歴は1年なので、これからは編集技術を磨いていきたいです」。

(受賞理由)

「飽きさせない工夫とテンポと視聴者目線で作られていたこと。また、オリジナリティを最も感じた点がとてもよかったです」(FULMA齊藤涼太郎さん)

「演じるってすごく難しいのに、弟君は小4にしてやり切れているのが本当にすごい! お姉さんと弟君と二人の仲の良さが伝わるいいチームでした」(YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」葉一さん)

■優秀賞 「秘密のまゆこちゃん」 畠山月乃さん

眉毛をテーマにしたストーリー性のある作品。毛糸ではうまくいかず、モールを使うとことで想像通りの眉毛が表現できたそう。また、写真を連続して動画にした点も工夫ポイント。
「賞をいただけて本当にうれしいです。まゆこちゃんも喜んでいます。今後は犬を飼いたいから、犬と動画をつくってみたいです」。

(受賞理由)

「演技力と世界観が素晴らしかったです。試行錯誤した様子が見ていて伝わってきました」(FULMA齊藤涼太郎さん)

「演技力もYouTuberっぽくてすばらしかった。僕も実験動画で素材をあれこれ考えたりしていますが、想像力があって工夫しているのがよく伝わりました」(サイエンスアーティスト。YouTubeチャンネル「GENKI LABO」元気先生)

■優秀賞 「イモデウス(太鼓の音楽会)」 齊藤馨さん

主人公の芋虫イモデウス(モーツァルトに憧れてかつらをつけている)のクレイアニメ作品。他人と関わるときには相手の気持ちを理解しよう、ほんの少しの歩み寄りが大事というメッセージも込められています。「身の回りにあるもので撮影しながら、粘土の形を少しずつ変えて撮影するのが大変で1ヵ月くらいかけて制作しました。これからは、仲間や家族などキャラクターも増やしたシリーズ作品を作っていきたいです」

(受賞理由)

「伝えたいメッセージがしっかり伝わってきて、見ていて引き込まれる作品でした」(FULMA齊藤涼太郎さん)

「なぜ、とうがらし? モーツァルト?」という設定が謎なところもシュールで面白かったです。クレイアニメは本当に根気がいる中、編集もなめらかですばらしかったっです(株式会社ワコム 矢野幸治さん)

動画制作のプロたちもうならせる作品が多数だった今回のコンテスト。最後に、審査員から小中学生クリエイターへのメッセージをいただきました。

「みんなすごいレベルの高い作品ですごく悩みました。これからまた皆さんの作品に出会えることを楽しみにしています。これからも作りたいものをどんどん作り続けてください。応援しています」(株式会社ワコム 矢野幸治さん)

「動画を編集するだけじゃなくて脚本や素材、観客目線などいろいろなことを学んだはずです。今日の経験をぜひ次に生かしてほしいです。作品を作るとたくさんのことが学べるしプレゼンする力にもなります。これは将来役立つ力だと思います。皆さんの未来の活躍を期待しています」(日本マイクロソフト株式会社 島田悠司さん)

「今回審査して、票が入っていない子は一人もいないくらいみんなよかったです。これからも自分が伝えたいもの、表現したいものを作りながら力強く進んでほしいです」(YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」葉一さん)

「僕は、この人と一緒に動画作りたいな、編集をお願いしたいなという視点で審査をさせてもらいました。皆さん素晴らしいセンスとアイデアの持ち主でとても刺激を受けました。これからもたくさんインプットとアウトプットをして、いつか将来一緒に仕事ができたらうれしいです」(サイエンスアーティスト。YouTubeチャンネル「GENKI LABO」元気先生)

動画作りを通してさまざまな学びにつながることがお分かりいただけたでしょうか。プレゼンをしているファイナリストの小学生たちが、とても堂々としている姿が印象的でした。
お子さんとの動画の付き合い方を考える機会にしていただけたら嬉しいです。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部です。ママ・パパに役立つ子育て、教育に関する情報を発信していきます!
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