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わが子の集中力の育て方を解説! 『すぐに結果を出せる すごい集中力』著者、荘司雅彦さん

わが子の集中力の育て方を解説! 『すぐに結果を出せる すごい集中力』著者、荘司雅彦さん

ご自身の東大文Ⅰや司法試験はもちろん、お子さんも中学受験で御三家に合格されたという荘司さん。その秘訣は、集中力にあると言います。新刊『すぐに結果を出せる すごい集中力(秀和システム)』の見どころはもちろん、スマホ時代に必要な「差をつける」テクニックや、「勉強に集中できない」「気が散る」がなくなる新・集中力についてお話を伺いました。ご自身やお子さんの集中力をアップさせたい! とお悩みの方、必見です。


東京大学法学部卒業後、日本長期信用銀行、野村投信に勤務。1991年弁護士登録。民事、刑事、家事、ビジネス等幅広い分野の案件を扱い、取り扱い件数は平均的弁護士の10倍以上。各種行政委員も歴任。現在は執筆・講演活動に専念し、メディア出演も多数。著書は『最短で結果が出る超勉強法』『中学受験BIBLE』(講談社)など多数。新刊『すぐに結果を出せる すごい集中力(秀和システム)』も発売中!
公式HP(http://www.masahiko-shoji.com/)。

日経DUAL記事

「熱中できる子」と「集中力」はイコールではない

__子どもの集中力は大人とどのように違うのでしょうか

私が考えるに、集中力とは大人と子どもでさほど違わないと思っています。ただし、必ずしも「熱中できる子」=「集中力がある」とは限りません。子どもは経験値がある大人と比べて、何もかもが新鮮で興味深く映ります。いつの時代も、子どもたちがある時期、ポケモンやウルトラマンに夢中になるのはそのためです。

しかし、熱中と集中は異なります。熱中できる子どもも(大人同様)仕事や勉強において常に集中(フロー)状態であることは不可能でしょう。ほとんどの場合は、努力や忍耐で支えられているのです。
では、実際に集中力はどのようにして身につけばいいか説明していきましょう。

スマホ時代に必要な「差をつける」テクニック

__スマホ時代に必要な「差をつける」テクニックとは?

子どもから大人まで、世界中でスマホが普及した今は「集中しにくい時代」だと言えます。仕事中も食事中もスマホを片時も離さず、LINEの返信をすぐに返すタイプの人は、おそらく、じっくり読書もできないはずです。

とすれば、いかに「スマホを見ない時間を作れるか」で人と差がつく「集中する時間」が生み出せるわけです。それは子どもたちにおいても同じこと。私学でも通学時以外は校内で携帯の使用を禁止とする学校が多いようですが、私は大賛成です。せめて学校にいる時間くらいは、スマホから目を話して、友達とリアルな世界で触れ合い、勉強やスポーツに集中させてあげたいですよね。

私たち大人も、休肝日ならぬ“休スマホ時間”を意識的に設けることが必要なのかもしれません。

集中とリラックスの配分が大事

__子どもの集中力をあげるために必要なこととは?

子どもの集中力UPにはまず「持久力」をつけること。とはいえ、一流のアスリートでも、ゾーンに入る状態はせいぜい試合の2割程度だそう。卓球やテニスの試合でも、プレイの合間にボールをポーンポーンとついたり、肩を動かしたりする光景を見かけたことはありませんか? 何が言いたいかというと、ここ一番で力を発揮するためには、長く戦う持久力と集中の前段階であるリラックスが不可欠なのです。力を抜いて構え、打つ瞬間に力を入れるのと同じです。

これは勉強でも同じこと。たとえば、私は勉強している間はリラックスと集中を織り交ぜていました。50分勉強したら10分間休憩し、休憩前5分間で何を学んだかを振り返っていました。また、知識をインプットしたら練習問題を解いてアウトプットする習慣をつけて学習すると、知識が定着していきます。

お子さんのインプット(学習)において、10歳くらいまでは抽象的な思考力が弱いので、つまづいている箇所をみつけたら、できるだけ具体的で身近なものに変換して説明してあげるのがおすすめです。例えば、娘が低学年の頃の算数で「( )を使う問題がわからない」と言ったときは、「最初は( )は冷凍保存して□にして他の計算をしよう。最期に例えば5+□になったら、レンジでチンして□を解凍してから5を足そう)などと話していました。

気になる集中力と雑音の関係

__子どもが集中して勉強するには無音がいいのしょうか? 集中するための環境作りについてアドバイスいただけますでしょうか

一般的に、「カフェで長時間、勉強や仕事をしてもいい成果は出ない」と言われます。カフェは、周囲の人たちの行動が違いますし、人がすぐ近くを横切ったり他人の話が聞こえてくると気が散るので、集中に適した環境ではありません。一方、図書館や自習室は集中に適した環境です。これは社会心理学で使われる「社会的証明の原理」と言うのですが、人間は同類と同じ行動をする心理が働くため、周囲の人たちが勉強していると、わざわざ気合いを入れなくても勉強ができてしまいます。家よりも自習室や図書館の方がやる気になるのはこのためです。

家で勉強していて雑音が気になる場合は、雑音を他の音でシャットアウトする工夫をしてみましょう。雨音や単調な音は外部の雑音を打ち消してくれる効果があるので、雨音や自然音のBGMをかけるのも効果的です。雨音でシールドを作って雑音を遮るというイメージです。お子さんの場合、イヤフォンだと耳が痛くなる場合がありますので、オーバーヘッドフォンや部屋全体にかけるなど工夫をされてみてください。

また、一番大事なポイントは「子どもが勉強しているときは親も勉強すること!」これはまさに先述した社会的証明の原理と同じです。大人は同じ家の中にいるという意味で同類ですから。私自身、娘が勉強しているときは、後ろで経済学の本や英字新聞を読んでいました。

満足感や達成感を味わうご褒美は効果的!

__お子さんに、頑張ったご褒美はあげていましたか?

私も実践していますが、「今日のタスクを終えたらご褒美作戦」は大人も子どもも効果があります。過大な褒美ではなく、「終わったら好きなDVDを存分楽しんでもOK」とか大人であれば「終わったら晩酌に缶ビール1杯」など。ご褒美が欲しいからやるのではなく、あくまでその日のタスクを達成したという満足感や達成感を実感するための儀式のようなものです。満足感や達成感を感じると、脳の快楽物質であるドーパミンが分泌されて幸福感を味わうことができます。

とくに中学受験は、1~2年以上も続きます。その日一日の勉強を達成して満足感と幸福感を感じないとめげてしまいます。日々の積み重ねの結果、受験日がやってくるのですから。

そして、模試などテストの結果の受け止め方も重要です。大事なのは一喜一憂しないこと! わが家では、テスト結果でのご褒美はあげていませんでした。結果がよかったときは「天才だな!」。悪かった時は「入試本番じゃなくてよかった。欠点が分かってお得なテストだった。全問正解だったら時間の無駄だからな」と心からそう思って声がけしていました。実際、欠点を発見するのは模試やテストの最も重要な役割なのです。

子どもは親が喜ぶ顔をみたいのです。できてもできなくてもまず笑顔で接しましょう。

また、日々の勉強では「加点主義」を取り入れていました。1問10点の問題でも、式がばっちり書けていたら15点とします。子どもも喜ぶし、やる気になります。社会に出ると、減点主義が多いですが、家庭での勉強くらい加点主義でもいいのではないでしょうか。

こうして、ポジティブな姿勢で接すると、子どもは勉強が楽しくなります。繰り返しますが、「なんでできないの!」ではなくて「本番じゃなくてよかったね。得したね!」こうしたポジティブな言葉を笑顔で口に出すと、親である自分自身も明るくなれます。無理にでも笑顔をつくれば、心が明るくなれるというのは心理学的に証明されています。

中学受験の一番のメリットは、将来役立つ集中力・持続力・回復力!

__中学受検をするメリットは、何だと思いますか?

今の中学受験は冗談じゃない勉強量です。子どもたちは皆必死に頑張っています。たとえ一度の試験で不合格になったからといって、その努力が水泡に帰するわけではありません。

中学受験で失敗した子は大学受験でリベンジする子が多いというのは統計的にも明らかです。失敗した子の方が後で伸びることが多々あります。

試験に落ちたら親の方が落ち込んでしまうのは、執着心が強いため。案外子どもは「また頑張る!」と切り替えられるケースが多いものです。

中学受験を経験した子どもたちは、これから社会で生きる上で必ず役立つ集中力や持続力、そして失敗しても立ち直れる回復力が身につくと感じています。

親が子どもに何かしてあげられるのは小学校くらいまで。それ以降は親よりも友達の影響を受ける時期になります。わが家は「よくも悪くも学生時代は環境に影響を受けるので、悪い友達や劣悪な環境に入れないことも親の大事な役目」と考え、中学受験を選びました。

私は決して子ども時代の詰め込み教育は悪ではないと思っています。吉田松陰もモーツァルトも幼少期に強烈な詰込み教育を受けていたそうですし、ノーベル賞受賞者が最も多いユダヤ人は、幼少期に経典を丸暗記させられるそうです。新しいひらめきは頭の中のアイデアをどう組み合わせるかであって、空っぽからは何も出てこないのです。

中学受験は、「どんな天才も努力しているんだよ」そんなことを親子で経験するいい機会なのではないでしょうか。

__最後に、今回の本の見どころをお願いします。

この本は10年以上前に出版した『最短で成果★超仕事術』『最短で結果が出る最強の勉強法』の美味しい所を合わせつつ、時代の要請に応じて集中力を大幅に加えたものです。まさに、この1冊で3冊分のノウハウが詰まっています。

娘は小4の冬休みに上京して中学受験に臨みましたが、小6の最期の四谷大塚の模試では総合56位まで成績を伸ばしました。やり方次第でいくらでも成績は伸びますし、間違ったやり方では決して成績は伸びません。

今の日本では小学校低学年レベルの掛け算ができない人が人口の1/3いると言われています。アメリカは1/2以上です。国の学力価格差は貧困にも関わる深刻な問題です。日本の未来のためにも学力低下は防がなければなりません。どうなるかはあなたやお子さんの集中力次第なのです。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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