子どものたったひとつの「得意」が人生を成功に導く。テスラ社・マスク氏などにみる教育と育て方

子どものたったひとつの「得意」が人生を成功に導く。テスラ社・マスク氏などにみる教育と育て方

わが子の将来のため、あらゆる才能を広く伸ばしてあげたいと願う親は多いことでしょう。一方で、幼い頃からひとつの才能を集中的に伸ばし、将来スペシャリストとして活躍するという道もあります。2022年の世界長者番付1位であり、7人の子どもの父親でもあるテスラ社のイーロン・マスク氏は、オールラウンダーよりもスペシャリストが成功者になりやすいと語っています。その理由をはじめ、子どもの才能を見抜く重要性や、楽しみながら得意なことを伸ばせる方法を解説します。

日経DUAL記事

世界のトップ企業がこぞって求める人材とは?

子どもの能力を幅広く伸ばす教育と、ひとつの能力を集中的に伸ばす教育。あなたならどちらを選びますか?

「圧倒的な勝ち組になる教育法」について研究を続けるベストセラー作家クマール・メータ医師によれば、たいていの親は前者を選ぶのだそうです。しかし、アメリカをはじめとする世界のトップ企業は、多種多様な業務を手がけられるオールラウンダーよりも、特化した技術・知識を持つスペシャリストを求めているのだといいます。

考えてみてください。あなたが会社の命運をかけたプロジェクトチームを作るなら、どんな人材をスカウトするでしょう? 幅広い業務をそつなくこなせる5人を選ぶか、特定の分野のスペシャリストをバランスよく5人選ぶか。おそらく誰もが後者を採用するのではないでしょうか。

多種多様な業務がこなせる能力も、もちろん大切です。しかし、専門性がないということは、ほかの人でもできる業務だということ。他人に取って代わられる危険性が常にあるのです。

一方、スペシャリストの代わりになる人はそう簡単には見つからないでしょう。そのため、会社は優秀なスペシャリストを常に求めており、好待遇で迎えられやすくなります。その結果、成功する人も多いのです。

幼少期から子どもの得意分野を伸ばすべき理由

幼いうちにひとつの能力に絞ってしまうなんて不安、と感じる方もいるかもしれません。しかし、幼い頃から始めることには絶対的なメリットがあります。それは才能を育てる時間がたっぷりあることです。

テスラ社のイーロン・マスク氏の場合、10歳の時に自分でコンピューターを購入し、プログラミングを独学で学んでいます。そのわずか2年後には、自作した商用ソフトウェアを販売。今では世界一の富豪として、誰もが知る有名人となりました。彼は「子どもを成功者にさせたいならば早い時期からその子は何が得意なのかを見抜き、そのひとつの才能を伸ばすことに集中するべきだ」と語っています。

テニス界のレジェンドとして知られるアンドレ・アガシ氏は、4歳でテニスを始めました。16歳の若さでプロに転向しましたが、幼少期から才能を磨いていたことで早くから頭角を表し、世界の第一線で活躍し続けました。

かの世界的な投資家ウォーレン・バフェット氏も、幼少期からお金とビジネスに興味を持っていました。初めて株を買ったのが11歳の時。このように、幼少期から得意とするひとつのことを集中的に学び、世界的な成功者となった例はたくさんあります。

また幼少期のうちに得意なことを見つけることは、子ども自身にとっても大きなメリットだとメータ医師は言います。興味があることに自ら取り組むことは自立を促し、将来自分が本当に好きなこと、やりがいを感じることを仕事にできる可能性が高まるからです。

子どもの才能の見つけ方と育て方

子どもの才能を見つけるためには、幼い頃からどんどん新しいことに挑戦させましょう。やってみないと、何に興味があって何が得意なのかは分かりません。海や山に出かける、スポーツにチャレンジする、演劇を見に行く。もし、何か子どもが強い興味を示したなら、その才能を磨くチャンスの到来です。

スペシャリストには一朝一夕では到達できず、時間がかかります。しかし幼いうちに始めれば、楽しみながらも他の子どもより早く基礎が出来上がり、クラスで最もそのことが得意な生徒になり、自信も手伝ってさらに高みへと自分を鍛えていかれます。

子どもが発見した「得意」をぐんぐん伸ばせるように、親は環境を整えてサポートしてあげましょう。魚に興味があれば、川や海に連れて行ったり、水族館へ行ったり、はたまたスーパーの鮮魚コーナーへ連れて行って切り身の違いを見てみたり。そこから海洋学へ興味が出るかもしれませんし、環境学の方へ進むかもしれません。

ここで注意したいのが、ひとつの才能を磨くといってもほかを全て犠牲すべきというわけではない、ということです。得意とは別に、趣味を持っていたり、別のスキルを身に着ける習い事をしたりしても構わないのです。ただ、その「得意」を極めるために、できる限りの情熱と時間費やすことにコミットする、それが特化した才能を磨くということなのです。

まとめ

まだ幼いうちから1つの才能に絞り集中的に磨いていくという考え方は、突飛な教育論に聞こえるかもしれません。しかし、わが子の才能にいち早く気づけるのは、一番身近にいる母親や父親です。世界がスペシャリストを求めている現在、子どもが今得意としていることを存分に伸ばしてあげることが、成功者への近道といえるのではないでしょうか。

<参考サイト>
https://www.cnbc.com/2021/04/13/key-parenting-approach-to-raising-exceptionally-successful-kids.html
https://www.inc.com/justin-bariso/it-took-elon-musk-exactly-5-words-to-reveal-what-he-looks-for-in-every-new-hire-and-its-not-a-college-degree.html

執筆者/長谷川サツキ

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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